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【愛してンのかよっ!3】

「緑川。あのさ、ちょい頼みがあんだけど」
着慣れない、フカフカのバスローブに身を包みながら、町田は緑川を振り返った。
「なんだよ」
答える緑川もバスローブ姿だった。
「わりーけど、ローション貸してくれねえか?」
「なにに使う?」
互いに風呂上り。町田は、一階のお客様専用のバスルームへ緑川に無理矢理閉じ込められて、バスを使った。
緑川は、2階の家族用のバスルームを使った。部屋で待ち合わせをして、町田より後に部屋にやってきた緑川は、町田にいきなりそう言われて眉を寄せた。
「・・・なにに使うって・・・」
この場合、こんな質問する方がどうかしてんだろ。察しろよ!と思ったが、町田はあえてその言葉を飲み込んだ。
へたなことを言うと、なにをしでかすかわからない不気味な恋人であるからだ。
まさかいきなりこんな事態を予想していなかったので、せっかく用意しておいたラブローションの出番は、今回はなさそうだった。
「お、俺さあ。乾燥肌でさ。風呂上りってお肌カサカサで♪」
苦しいぜっ!と思いながら、町田は答えた。
「この真夏に乾燥肌?しかも、てめえってば、どう見ても暑苦しいっていうか、脂ぎっている気がするけどな」
返ってきた答えに、町田は即座に緑川の尻を蹴飛ばした。
「いいから、持ってこいっ!」
すると緑川は渋々バスルームにローションを取りに行った。パタタタと町田は右足を世話しなく動かして、緑川が戻ってくるのを待った。
考えてみれば、俺だって男を抱くのは生まれて初めて。経験者(誰?(笑))にそれなりにやり方を聞いておいたが、うまくいくだろうか・・・と、なんだかあせってしまう。
うおー!し、心臓がドキドキしてきたぜ・・・と町田は自分の裸の胸を擦った。
やっぱりこの前のホテルの時のように、喧嘩後の興奮を引き摺った勢いがナイとデキねえもんかな?と思った。
「ほら」
いつの間にか緑川が戻ってきていて、ローションのボトルを町田の目の前に突きつけた。
「なんかよくわかんねえから、おふくろの持ってきた。合わなくて、肌が荒れても俺のせいにすんなよ」
と緑川が言った。
「・・・」
その心配はてめえでしろよ・・・と町田は思ったが、親子だ。肌の質などどうせ同じだろう。
しかし、アソコが荒れるって結構可哀相かも・・・と考えたりもしてしまう。
「うあっ。んなこと心配してたら、出来ねえっ。け、けど」
ブンブンと町田は首を振った。その町田の様子を見て、緑川はうなづいた。
「肌荒れって結構深刻だよな。葉子もいつも悩んでるし。俺は肌強いから平気だけどよ。てめえもどう見ても、んなデリケートには見えねえから大丈夫だろうけど」
緑川の言葉に、町田はピクッと反応する。「俺は肌強いから」と言う緑川の言葉が、町田の頭の中でクルクルと繰り返された。
そして、緑川の言葉を最後まで聞いていなかったのが、幸いでもあった。
「そうか。それならば、安心した。遠慮なくいかせてもらうぜ」
「あん?」
言い返されなかったことに、緑川は拍子抜けしたような顔で町田を見たが、町田の顔は真剣そのものだった。
町田はグッと、ローションのボトルを右手で握り締めると、ベッドに向かった。
「来いよ」
「・・・ああ」
緑川の、案外潔くうなづく声が聞こえ、町田がベッドに片手をついた途端、部屋の電気が真っ暗に消えた。
「どわあっ」
町田が叫んだ。
「み、見えねーっ。緑川!?」
「いるよ」
落ち着き払った緑川の声。
「なんで電気消すんだよ」
「こういう時は消すもんだろ」
「おっぱじめる前から消すやつあるか。なんにも見えねえだろうが」
「安心しろ。てめえはベッドの上にいる」
「そーゆー問題かっ!俺、おまえが見えねえよ」
「だから、傍にいるって言ってるだろ。ほら」
町田の肩に緑川の手が触れた。その感触に町田はホッとした。
「ああ。いるな。よかった・・・。って、安心してる場合か。つけろ。電気点けろ」
「なんだよ。うるせえな」
「電気点けろーォッ!」
耳元でぎゃいのぎゃいの騒がれて、緑川は仕方なく手に持っていたリモコンで電気を点けた。
「なんだって言うんだ、一体」
「それはてめえの方だっ。貸せっ」
バッと町田は緑川の手からリモコンを取り上げた。
「なんだよ、おまえは。もしかして暗所恐怖症なのか?」
ここまできて、まだこんなことを言っている緑川に、町田は一瞬眩暈を起こしかけたが、かろうじて踏ん張った。
「・・・てめえは・・・。もういいっ。全部俺に任せろっ」
「うあっ!」
緑川は、町田に両肩を掴まれて、バフッとシーツに押し倒された。
「町田。電気消せよ。早く」
「いやだね〜だっ!」
ベロベロバーッと町田は舌を出した。その小憎たらしい顔に、緑川はムッとしつつ、顔を赤くした。
「なんだよ。こんなのっ。消さなきゃ、全部見えるじゃねえかっ!」
「見られたくなきゃ、俺からリモコン奪い返しなよ」
「返せ」
「やだねっ」
緑川は上半身をかすかに浮かせて、町田の手にあるリモコンを取り返そうと左手を伸ばした。
だが、町田はリモコンをポイッとシーツの上に放り出し、伸びてきた緑川の左手首を握りしめた。
ドサッと緑川のかすかに浮いていた背中が再びシーツに沈んだ。グググッと、町田は緑川の両手首を掴んでシーツに押さえつけた。
「俺のやること、邪魔すンじゃねえよ。痛い目あいたくねえだろっ」
町田は緑川の顔を覗きこんで、怒鳴った。
「当たり前だ。痛いのなんか、ぜってーゴメンだ」
緑川も町田を正面から睨んで怒鳴り返す。
「だったら、おとなしくしてやがれ。そのうち電気が点いてるか点いてねえかなんてどうでもよくなる・・・筈だ」
「・・・てめえ、その間はなんだよ」
「知るかよ。俺だって、男のアソコに突っ込むのなんて初めてなんだからっ。黙って、俺のやることに従っとけェッ」
ヤケクソのように町田は叫んだ。そして、緑川の唇に自分の唇を押し当てた。
「んぐっ」
むちゃくちゃ熱い町田の唇を受けて、緑川は眉を寄せた。さっき散々重ねた唇の感触が、甦る。
同時に、さっき体中に感じた「熱」も瞬時に甦る。ゾワッ、と体に熱が散らばっていくのを緑川は感じた。
町田は、緑川の唇から呼吸を奪うかのような勢いで、キスを繰り返す。ソッコーで決めないと、コイツはなにしでかすかわからん!
ジェットコースターに乗っているかのような心境で、町田は持てる限りの力?を緑川の唇に注いだ。
そのうちに、掴んでいた緑川の手首から力が抜けるのを感じて、バッと唇を離して、手首を押さえつけていた腕を外し、
緑川のバスローブの襟元をグッと左右に引っ張り、剥いた。
「!」
ハッと、緑川が目を見開いた。熱を持った全身が、空気に晒されて、一瞬小さな寒気を覚えた。
視線を動かし、自分の体の上にいる町田を緑川は見上げた。目が合う。緑川をジッと見下ろしながら、町田は自分のバスローブをバッと脱いだ。
室内に当たり前のように溢れる光の下で、町田の胸板が露わになる。
「・・・」
ほとんど体格が同じ筈なのに、明らかに町田の胸の方が逞しい。
状況を忘れて、緑川は「ちきしょう」と思った。だが、そんなことを思っていられたのも僅かな間で、すぐさまその町田の胸が自分の胸に覆い被さってきた。
「うっ」
重なりあった胸が熱い。一気にドキドキと心臓が跳ね上がって、緑川はチッと舌打ちした。これだけ密着していれば、この音は町田には聞こえているだろう。
クソッと思って、緑川は町田から顔を反らそうと首を捻った。だが、町田はそれを許さずに、緑川の顎を捕らえて、無理矢理口付ける。
絡ませた舌がもどかしげに離れていき、町田は緑川の首筋に唇を寄せた。スルリと首筋にキスを降らせ、そして今度は緑川の乳首に吸いついた。
さすがに、その感触に、緑川は右目を瞑ってしまい、町田の金髪に指を絡めて引っ張った。
「やめろっ」
だが、そんな制止を、町田が聞く筈もなく、町田は緑川の乳首に舌を這わせた。小さな突起を含み、そしてカリッと歯を立てる。
「っつ」
ビクッと緑川の、つまさきが震えた。最初に感じたくすぐったさが消えて、じょじょに不思議な気分になっていく。
「んっ」
左右の乳首を容赦なくグリグリとヤられて、緑川は唇を噛み締めた。そうでもしなきゃ、おかしな声が唇から零れてしまうからだ。
「ま、町田。やめろっ」
ボカッと、緑川は町田の頭を叩いた。
「ってえっ!」
呻いて町田は顔をあげた。
「てめえ。俺が一生懸命おまえを気持ちよくさせてやろうとしてんのに・・・」
「気持ちよくないっ!気持ちわりーっ」
「嘘だね。じゃあ、なんだよ、コレ」
そう言って町田は、モゾモゾと緑川の下半身に手を伸ばした。
「当たってンだよ。さっきから俺の腹に、コレ」
「!」
町田は右手で、緑川のペニスを握りこんだ。
「もう少ししたら、完勃ち・・・」
フフンッと町田は鼻を鳴らして、緑川の顔を覗きこんだ。
「う、うるせえ。黙れっ!」
カッと緑川の頬に朱が散った。その顔を見て、町田は満足気に笑った。
「あのな。イイなら、イイって言えよ。俺は生憎男は初めてだからな。言ってくれなきゃわかんねえんだからな・・・」
「全然ヨくねえよ」
「あーそー。ふんっ。だったら、ヨくなるまで頑張らなきゃいけねえな」
そう言って町田は、グッと緑川のペニスの根元を握りこみながら、先端を舌で舐めた。
「くっ」
ヒクッと緑川の喉が仰け反った。町田は、緑川のペニスをパクリと口に含んだ。
「うっ」
生暖かい口腔にペニスを含まれた感覚は、緑川にとって初めての経験で、ヒッと体が自然に竦みあがった。
町田は左手で緑川の左足を押さえつけながら、唇で緑川のペニスをクチュクチュと愛撫していく。ピチャッと、濡れた音が次々と響いた。
「なんか出てきてるけど・・・。これでもよくねえっつーの?」
「う、うるせぇ・・・」
緑川は半分腰を捻りながら、叫んだ。
「逃げるなって言っただろ」
町田は緑川の右足を肩に担ぎ開けながら、グイッと股間を押し開いた。
「イヤだっ」
即座に緑川が叫んだ。
「駄々こねるな。こうしねえと、できねえんだよ」
煌々とした灯りの下で、町田に向かって下半身を開いている自分に、緑川は半分朦朧としながら、頭を振った。
「いやだ、いやだ。いやだっ。電気消せよ」
「リモコンならば、おまえのすぐ脇にあるぜ」
ハッとして緑川は、リモコンの存在を思い出した。体を捻った逆の方にリモコンがあるのに気づいて、緑川は捻った腰を戻した。
その瞬間、町田は緑川の伸ばした腕を再び素早く掴み取り、反対側の手で緑川の髪を掴んだ。
「そんなに恥ずかしいならば、俺のをヤりな。なんせ俺はちっとも恥ずかしくねえからな」
「!?」
緑川の髪を掴んだまま、町田は緑川の顔を自分の股間に押し付けた。
「冗談じゃねえっ」
緑川は町田の股間から顔を反らして、叫んだ。
「冗談なんか言ってねえよ。おまえ、俺の雌だろ。雄喜ばすようなこと、しやがれよ」
「ふざけんな」
「ふざけてなんかいねえだろ。早く咥えろよ」
町田は自分のペニスを指で押さえながら、緑川の唇に押し当てた。緑川はビクッと唇を閉じてしまった。
「口開けろ」
町田は腰を深く折って、緑川の耳元に囁いた。
「観念して口開けろ。俺をイかせてくれたら、リモコン渡してやるから」
その町田の言葉に、緑川は観念して口を開けた。間髪おかずにググッと、町田のペニスが侵入してきた。
たぶん、自分のよりも大きいソレを口の中に納めることは、かなり苦しかった。
「ぐっ」
緑川は咽せた。
「あとはおまえに任せる」
任せるってなんだよ!と思いながら、緑川は眉を顰めた。口の中を占領する町田のペニスのせいで飲みきれない唾液が唇から漏れた。
どうすることも出来ないので、仕方なく舌をソロリと動かした。しばらくすると、ピクンッと町田のペニスが反応しだした。
吐き出してしまいたいのを堪えながら、緑川は必死に町田のペニスに舌を絡めた。

一方の町田は、さっき緑川から受け取ったローションで右の指を全て濡らした。
わりとアッサリとした感触なので不安になり、町田はドボッとローションを右手に注いだ。ダラダラと指からローションが零れ落ちた。
いまいちヌルヌル感が足りねえ・・・と思ったが、そこはそれだ。緑川に堪えてもらわねばならん!と自分勝手に納得しながら、
濡れた指でまず緑川の背中をツーッとなぞった。
「っう」
ビクッと背が揺れて、バフッと緑川が町田のペニスを口の中から押し出した。
「あっ・・・」
ポタリと緑川の唇から唾液が零れた。
「町田。てめえ、なにしやがる」
「いいから、黙って続けろ」
ガホッと町田は緑川の頭を押さえつけ、再びその口にペニスを突っ込んだ。
「やっ」
ぐぬっと再び口腔を占領した町田のペニスに、緑川は眉を寄せた。なにすんだ、このヤローと言いたかったが、勿論そんなことは言葉にはならなかった。
町田は、スススッと濡れた指で背を撫でながら、緑川の白い尻の膨らみに辿りつく。一瞬、その膨らみの割れ目で指が躊躇したが、すぐに指が動かした。
ここら辺?と勘で指を動かすと、小さな窪みに指が触れた。窪みの上を軽く擦って、そしてそのまま、クッと窪みを分け入って濡れた指を押し込んだ。
ツプッ・・・と小さな音がした。
「!」
さっきの、背を指でなぞった時に返してきた反応どころではない反応を、緑川の体が返してきた。
「なっに!ゆ、指?」
緑川は町田のペニスを吐き出し、振り返った。
「そう、指。今、掻き混ぜてる」
町田は、緑川の双丘の皮膚を左右に引っ張り、最奥の窪みを広げては、指を突き入れた。
「い、いてっ。ま、町田。痛いっ」
緑川は町田の膝の上で、その小さな頭をブンブンと振って痛みを訴えた。
「ごめん。たぶん、今が一番痛い時だと思うんだ」
「の、呑気に言ってンじゃねえっ。い、痛っ」
「ワリー。けど、慣らしておかねえと、俺のが入らねえ」
「入らなくてもいいっ。う、ううっ」
訴えているのに、町田はそんなことお構いなしに、皮膚を引っ張り、二本目の指を緑川の中に突っ込んだ。
「!!」
ヒクッと緑川の、伏せていた腰が震えて持ち上がった。町田の指を引き抜こうと持ち上げた尻だったが、そのせいでガッシリと町田が緑川の腰を掴んでしまう。
「やりやすくなったぜ。協力サンキュー」
「ドアホーっ!あ、あっ」
グリグリと中を指で広げられて、緑川は町田の膝から顔をあげた。
「痛いっ。ううっ」
「堪えろ」
「ち、ちきしょう。ひとごとだと思いやがって。ううっ。んっ」
グルグルと円を描くように町田は緑川の中を指で擦っていた。ジュッジュッと粘った音が響く。
「あっう!?」
腰を引っ張られて持ち上げられて、シーツに立てた膝で町田の腰を挟んで、町田の膝の上を跨ぐような体位を緑川は取らされた。
緑川の腕は、体を支える為に自然に町田の両肩を掴んだ。
町田は、すぐ目の前にある緑川の膨らんだ乳首を舐めながら、浮いた緑川の尻の奥を相変わらず指でこねくり回していた。下から、上へと指を突き上げられて、グッグッと緑川の体が揺れた。
「あ。くっ」
なんだかわからない感覚が、体の奥からボウッと込み上げてきて、緑川はゾクゾクっと体を震わせた。思わずガバッと町田の首筋に顔を埋めながら、緑川は咄嗟に叫んでいた。
「抜けっ。抜けよ、バカヤロウっ!気持ちわりーんだよ」
「よく言うぜ。吸い付いて離さねえのはてめえの方なんだぜ」
町田の言葉に、緑川は全身が、カーッと赤くなったように感じた。吸い付いて、離れない????冗談じゃ・・・。
「ああっ」
長い町田の指が、とある一点を突いた瞬間、緑川は大きく声をあげた。
「う、そだっ」
キュウッとソコが締まるのが、自分でもわかった。そうこうしてる間に、放り出されていた自分のペニスが爆発したのを感じて緑川は立てた膝に力を込めた。
「あ、あ、あ」
放出の瞬間。ゾクゾクと緑川の体を快感が駆け抜けて行った。
「お先に失礼ってヤツ?」
町田は、自分の胸を濡らした緑川の精液を指ですくいながら、舐めた。そんな町田のしぐさを見て、緑川は引き攣った。
「やめろよ、変態」
「おまえの出したもんだから、いーじゃん。ところで、ちゃんと感じりゃ、てめえでも出るんだな」
そう言いながら、町田は転がっていたリモコンを拾い上げた。
「っせえ・・・。当たり前、だろ・・・」
バッと脚を閉じて、緑川は町田の体を避けて、ズリズリとシーツに突っ伏した。町田の目の前で先にイッてしまったことが恐ろしく恥ずかしかった。
「リモコン・・・。返せ」
シーツに突っ伏しながら、緑川は小さく呻いた。
「やだね」
「返せよっ」
ガバッと顔をあげて、緑川は叫んだ。その顔が、あまりに紅潮していて、町田はプッと吹き出した。
「クククッ。てめえ、すげえ顔赤いぜ」
「うるせえな。見るんじゃねえよ」
バチッと、と緑川は町田の顔を正面から掌で叩いた。
「イテッ。ちっ。そんなに恥ずかしいかよ。俺の前でイッちまったことが」
緑川の掌を避けながら、まだ町田はニヤニヤしている。
「やかましいんだよ。リモコン返せよ」
「俺をイかせたら、渡してやるって言ったろ。イッたのは、てめえで俺じゃねえよ」
フフンッと、町田はリモコンを、手の上で転がしている。
「ああ、わかった。てめえがそーゆー態度ならば、元から消せばいいんだ!」
緑川は、モゾッと体を動かして、ベッドを降りようとした。
「んな面倒くせえことしなくてもさ。脚開いて、俺を咥えて、ちょい腰振ればすぐに返してやるよ」
町田は手を伸ばして、緑川の体をシーツに押し倒した。
「ふざけんな。電気を消せよっ」
「いやだね」
「やめろってば!」
両足首を掴まれて緑川はギョッとした。町田の腕が、ゆっくり左右に動いて、緑川の股間を広げていく。サーッと、緑川の顔色が青褪めた。
「すげえ。丸見えになっちまったよ」
笑いを含んだ声で町田が言った。
「!」
その言葉に、緑川は目を瞑った。頭からつまさきまでに一気に熱が駆け抜けていった。
「海老みてえ。さっきまで顔青かったのに、すげえ真っ赤になっちまった」
耳元で町田が囁いた。
「おまえ、可愛いなァ。ってことで、覚悟しろよ。まるごと戴くぜ」
言葉が終わる瞬間、大きく開いた緑川の最奥に、町田のペニスが触れた。緑川は最後の気力を振り絞って抵抗したが、適わなかった。
さっき散々指で溶かされた緑川のアナルは、もうトロトロで、町田のペニスをユルリと受け入れた。そして、遅れて痛みがやってくる。
「・・・・」
遠慮会釈もなく、ズブズブと未通のアナルをデカイもので抉られて、緑川は声なく喘いだ。
「くっ。み、緑川・・・。ちょい、緩めろ・・・」
町田が、歯を食いしばって、呻いた。
「てめえが・・・出てけっ」
緑川はヒクヒクと仰け反りながら、やっと言い返した。その言葉にムッとしたのか、町田は勢いつけてペニスを押し込んできた。
「うっ。ううっ」
ズリズリと町田の腕が滑り、緑川の膝を押し上げ、ついには、緑川の膝はシーツにつくぐらいまでに折り曲げられてしまった。
その隙間を、町田の腰が追いかけてくる。
「んあっ!」
深く入った。カチリ、と鍵穴と鍵が合った時のような感覚。
「ああ。やっと、合体だぜ・・・。すげえ、嬉しい・・・」
町田が、クタッと緑川の体の上に覆いかぶさってきながら、呟いた。だが、緑川の体は悲鳴をあげた。
町田が体を動かしたことによって、入り込んできた町田のペニスがますます緑川を抉ったからだ。
「痛えっ。痛えっつんだよっ!」
クウッと堪えきれずに、緑川の目から涙が溢れた。
「痛えか?」
「痛いって言ってンだよ」
「ごめんな。わりーけど、俺は気持ちイイ・・・。おまえの中、柔らけーんだもん。見かけと大違いだぜ。フワフワって感じ」
「っせえんだよ・・・」
軽く町田が腰を揺すった。緑川が小さく悲鳴をあげた。
「リモコン、返せ」
緑川は自分の目を掌で隠しながら、呟いた。
「まだ言ってんのかよ。もう、全部見えちまっているんだから、いいだろ。ほれ、おまえのココだってさ。俺の大きさにちゃんと広がっているんだぜ。こんなに小さな穴なのに」
そう言いながら、町田は自分のペニスを飲み込んでいる緑川のアナルの周りの皮膚を指で撫でた。
「うっ。くぅっ」
その刺激にビクッと緑川は反応して、町田のペニスを締めつけた。
「リモコン返せ」
ヒクヒクと喘ぎながらも、緑川は言った。
「強情っぱり」
フンッと町田は、笑った。
「返せよっ」
ポロポロと泣きながら、緑川は叫んだ。
「ったく、おまえは・・・。いいぜ。返してやる。ただし、イイって言えよ。気持ちイイって言えよ」
町田は、緑川の柔らかい黒髪に指を差し入れ、優しく撫でた。
「痛えんだよっ。イイもんか!」
町田の太いペニスに抉られる緑川のソコは、まだ快感を捕らえてない。快感より、羞恥と痛みが勝っている。
「ん。だからさ。ヨくなったら、イイって言うのさ。そしたら、リモコン返すよ」
チュッ、と町田は緑川の汗ばんだ額にキスしてから、次に唇にキスをした。
「んん、ん。あ、い、いますぐ返せぇっ!」
唇が離れると、駄々をこねるように緑川は町田を見つめては、叫んだ。
「やーだーね。まだまだ、これからだろ」
ヨッと、町田は緑川の腰を抱え、ペニスを押し込んだ。
「う、ん。んんっ」
ジュッジュッと捻じ込まれ、擦られ、緑川は仰け反った。瞳を掌で押さえても、押さえても、涙が零れて止まらなかった。
そのうち町田に押さえつけられて、いいように動かされていた腰がクッと浮いた。
感じていた痛みがどんどんと遠くへと消え去っていき、残ったのは羞恥と淡い快感だけになった。
「は、う。ん、ん。返せ・・・」
押さえつけられた腰に、町田のペニスが打ちつけられる度に、淡い快感が消えていき、どんどんと濃い快感に乗っ取られていく。
相変わらず残っているのは、強い羞恥だけだった。
「返せっ。リモコン。も、いやだぁ」
もう今更だろ、と言われても仕方ない程余すところなく町田に見られてしまっていることは緑川にもわかっていたが、
それでもリモコンを奪い返すことだけが唯一町田に抵抗出来るもののような気がして緑川はムキになった。
「返してほしけりゃ、イイって言えよ。なあ、緑川」
緑川が快感を感じていることは、町田にはわかっていた。緑川の中が、さっきからきつく、きつく自分のペニスを締めつけてきているからだ。
「イくねえっ」
「まだ言うか!」
むきになって町田は緑川を突いた。
「言えったら、言え。イイって言えっ。おまえのココ、もうこんなじゃねえか。感じてるくせにっ。素直に言えよ」
町田は緑川の、先端を潤ませているペニスを掴んで、言った。
「ヨくねえも・・・ん」
体は、完全に町田に引っ張られていた。町田が突いてくるところから感じるものは、もう単なる快感だけだった。完全なる快感。
けれど、緑川はどうしても素直に言えなかった。
「にゃろぅっ!」
グウッ、と町田は緑川の脚をギリギリまで開かせて、ペニスを押し込んだ。もうこうなったら、お互いに意地の張り合いだった。
「ひっ。う。あ、ああっ。いっ!」
激しく突き入れられて、緑川は町田の体に縋りついた。
「くそっ。てめえ、俺のこと愛してンのかよっ!こ、こんなに乱暴なことしやがって」
緑川は体を捩りながら、叫んだ。
「てめえこそ、俺のこと愛してンのかよ!イイくせにイイって言わねえでッ!こんなに俺が頑張ってるのに。ちきしょぉっ」
ギリリッと、緑川が自分の背に爪を立てる痛みを感じながら、町田も叫んだ。
2人は、真正面から、ギッと睨みあった。町田が、グッと腰を突き上げた。
「ふっ。うっ」
町田を受け入れた緑川のソコが、ギチッと音を立てて軋んだ。
「あうっ!」
与えられた快感に、緑川は、目の前が一瞬スパークしたように感じて、仰け反った。その緑川の両頬を町田がグッと押さえこんで、覗きこんだ。
「なあ、マジでヨくねえのか?苦しいだけかよ。辛いだけかよ。痛いだけかよ。なあ、緑川。答えろよ、おい。答えろ、晴海っ!」
なんだか町田は泣きそうな顔だった。泣きそうな顔で、訊いてくる。
揺すられて、ハアハアと喘ぎながら、緑川は町田から視線を反らして、その肩に両手を回した。そして、町田の肩口に顔を埋めた。
「イイ・・・」
本当は途中から、痛みも羞恥もかき消え、すごく気持ちが良かった。でも、素直に言うのがなぜだか悔しくて、悔しくて・・・。
でも、町田の泣きそうな顔を見るのは、緑川には耐えられない。
コイツにゃ笑っていて、ほしい・・・。いつも、いつも、真夏の太陽みてぇに。人にはバカと言われようが、俺は、そんな明るいコイツが、すごい好き・・・。
「あ?」
「イイってばっ!気持ち、イイ。ほんとは、おまえの、すっごいイイッ」
ヤケクソだ。
緑川は、町田の頭を掴んで、目を閉じて、耳元で叫んでやった。だが、町田からの答えはない。緑川は、おそるおそる目を見開いた。
町田は、ジッと緑川を見下ろしている。なんだか呆けた表情だった。その町田の顔を見上げて、緑川は、カアッと顔を赤くした。
自分が、とんでもなく恥ずかしいことを言ったのではないかと思った。町田が呆れているのではないか、と思った。
慌てて目を反らそうとしたところに、町田の指が緑川の頬に軽く触れた。
「・・・すげえ嬉しいッ!」
ニコッ、と町田は緑川を見下ろし、笑った。
「!」
キュッと緑川の中が激しく収縮した。町田の嬉しそうな顔を見て、体が熱くなったのだ。
「え、おまえ。マジかよっ」
急に引き絞られた緑川の中の襞に絡み取られて町田のペニスも暴走した。
「うわわっ」
イこうとしている緑川の顔を間近で見つめて、町田が動揺の声をあげた。
目を疑うような、普段からはまるっきり想像出来ない、やたらと色っぽい顔を緑川が見せたからだった。
「んんっ」
緑川は、町田を後ろにおさめたまま、二度目を放った。それにほぼ続くようにして、町田が緑川の中に放った。
「くぅっ」
熱いものを体の中に叩きつけられて、クタッと緑川の体から力が抜けた。へなへなと脱力していく緑川の体を慌てて町田は抱きしめた。
「オイ。大丈夫か?」
「・・・」
抱き起こされて、緑川はボーッとした顔のまま、町田を見上げたが、グタッと町田にもたれかかった。
「わ、悪かったな。手荒なことしちまって・・・。いや、俺もついムキになっちまって」
言いながら、町田は体をずらし、緑川の中からペニスを引き摺りだした。
「うっ」
その感覚に、緑川は眉を寄せた。ツプッと小さな音を立ててペニスが退いていき、広げられていたアナルが閉じていく。
「緑川」
「リモコン」
町田にもたれかかりながら、緑川は呟いた。
「てめえは・・・。まだンなことを・・・」
呆れたように町田はぼやきつつ、もたれかかってきた緑川の頭を撫でながら、リモコンを手渡した。
「・・・」
ブチッと緑川はリモコンのボタンを押して、電気を消した。部屋は真っ暗になった。
「どうせもう一回ヤんだろ」
緑川はボソッと言った。
「そ、そりゃ・・・。俺としては、一度と言わず、何度でもって感じだけど・・・。い、いいのかよ!?」
「ふんっ。電気がやっと消えたからな」
そう言って緑川は、町田を振り返ると、その唇にキスをした。
突然緑川の方から仕掛けてきたキスに驚いた町田だったが、すぐに舌を差し出した。
そして、ゆっくりと緑川の体を押さえ込みながら、町田は再びシーツに倒れこんでいった。


後日談

「きゃー!わ、私の高級ローションが、なによ、コレ!まだ買ったばっかりだったのに、なんでこれしか、もうないのぉ〜(号泣)」
翔子の悲鳴が、バスルームに轟いた。
「ぶっ」
晴海は、すぐ隣でシャコシャコ歯を磨いていたが、思わずダラッと泡を吹き出した。
「なによ。アンタが犯人?」
ギロッと翔子は息子を睨んだ。
「・・・町田が犯人」
そう言って晴海はまた歯を磨きだす。
「まーちゃんが犯人?」
キョトンとする翔子に、晴海はどう説明していいかわからずに、再びなにごともなかったかのように歯を磨きだした。

その晩、緑川家の食卓には、お赤飯が出されたのであった。


END
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