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****3部16話***


昼間は小田島はいない筈。連橋にとって、昼の時間は安息の時だった。それなのに。今日は、小田島が一向に出かける気配がない。朝食を無理やり食べさせられて、排出を強いられ、やっとの思いでベッドに戻ると、そこには既に小田島が待機していたのだった。
またしても、ベッドの傍にカメラがある。
『いい加減にしろよ・・・』
と、さすがに連橋は辟易した。もう撮るものなんてねえだろ、と思った。あますところなく、全て撮られた。なのに、まだ?連橋は溜息をついた。どこまでコイツはしょーもねーヤツなんだと、溜息を百万回繰り返したところで一向にムカッ腹はおさまりそうになかった。
「まだ、コイツで遊んでるところを撮ってねえよな」
小田島が、手にしているものを見て、連橋は眉を寄せた。
「それが済めば、あらかたコンプリートだ。あとで一緒に見ようぜ、連橋」
「勝手にしやがれ。外道」
ジャラッと連橋の手首を小田島が引っ張ったせいで、手元の鎖が鳴った。その音は、性の儀式の突入の音だった。


「んっ」
アナルにブツブツとしたアナルビーズが埋め込まれていく不快感に、連橋の体は竦みあがった。チリチリと奥に痛みが走り、それが駆け抜けると、連橋が最も望まぬ快感がやってくる。
「くっう・・・」
ジワジワとアナルの襞を擦りながら、その道具は連橋のアナルを貫いてゆく。
「っ・・・つっ・・・」
仰向けに寝かされ、大きく脚を開き、連橋はその道具を体の奥深くに埋め込まれていた。
「どうだ?イイか?ここ、だろ」
ツンッ、と小田島が突いたところに、連橋の体が反りあがって反応した。
「おまえの場所。俺、もうわかるんだぜ・・・」
満足そうに小田島が囁いた。アナルが、トロトロとローションで緩み、ビショビショになる。柔らかくなったソコへ、グシュグシュと、質感を持ったものが退いては押し込まれ押し込まれては退いていく。
「あ、あ」
シーツを掴む連橋の手がピクッと震えた。どうしたことか、力が入らない。指先が、小刻みに震えた。グッ、とアナルビーズが奥まで差し込まれた。さすがに連橋は喉をひくつかせて、腰を浮かせた。股間のすぐ傍で、ジジッ・・・とまた虫の羽音のような小さな音が響いていた。
「そら」
深々と差し込まれたアナルピーズが、一気に引き抜かれた。
「う、ああっ!」
たまらず連橋は声を上げた。ビクン、と股間のものも跳ねた。パクリと開き、ヒクヒクと煽動するアナルに、小田島は今度は極太のバイブを挿入した。
「や、めっ」
ググッと入ってくる質感に、連橋は喘いだ。バイブに塗られたローションが、またもや連橋のアナルを濡らしていく。
小田島は、あっさりと奥までバイブを埋め込んでしまうと、指を伸ばし、連橋の乳首を弄った。
「んっ」
左手で連橋の乳首をきつく弄くり回し、右手で連橋のペニスを弄ぶ。連橋は、体の感じる三つの部分を同時に弄ばれ、きつく眉を寄せた。乳首を弄り回す手が離れ、やがてそこは小田島の舌に嬲られた。
「っく。う、んん。ん、あ」
ペニスから感じる感覚と、乳首から感じる感覚が、全て奥に深々と挟まったバイブに直結する。連橋のアナルは、きつくバイブを締め上げていた。
「気持ちいいか?そういうツラしてるぜ・・・」
うっとりと小田島は言うと、連橋の唇にキスをした。強引で、荒々しいキスだった。
「あ、う。あうっ」
小田島の手が連橋のペニスから離れ、バイブの抜き差しに取り掛かった。
「や、だ。う、ううっ!!」
「イケよっ」
ガッ、と小田島の手が乱暴にバイブを引き抜いた。その瞬間に、連橋は射精していた。
「っく。あ・・・」
ドロリと腹の上に落ちる自身の精液の温度に、連橋の体はピクンッと震えた。
ジジジ・・・と羽音のような音が止む。
「よし。適当に編集してこい」
小田島がカメラマンに向かって言う。カメラマンはうなづいたようで、部屋を出て行った。
「さあ、どんなものが出来ているか。楽しみにしてろよ、連橋」
小田島は、シーツに突っ伏した連橋の金色の髪を掴み上げながら、その耳元で囁いた。
「っせえ・・・」
言い返すものの、連橋は体に力が入らなかった。
「?!」
「さて。今度はこっちを頼むぜ」
目の前に突き出された小田島のペニスに、連橋は顔を背けた。一瞬、目の前がクラッとした。
「・・・」
連橋の反応に、小田島が嘲笑した。
「てめえのダイスキなチンポだろ。なに今更嫌がったフリしてやがる。このどすけべなケツマンコ持ちが」
小田島は、連橋の顎を指でグイッと持ち上げると、その赤い唇に、無理やりペニスを突きいれた。
「おまえは、こうやってチンポ咥えて、穴広げてりゃいいんだ。俺の為にな」
「んぐっ」
口の中を無理やりペニスで掻き回されて、連橋は本気で眩暈を覚えた。体に力が入らない。
何故、急に・・・?!


城田は夕実のマンションに向かった。あの騒動の逃げる最中に免許証を落とし、それは回収され、ひとづてに夕実が保管している、と聞いたからだった。夕実の商売柄、こんな早い時間には寝ているだろうとは思ったが、仕方ないと思った。
夕実のマンションを訪ねると、そんなに待たされることなく、夕実が対応に出てきた。薄紫のガウンを羽織った夕実は、やはり気だるげだったが、指に免許証を挟んでいた。
「坊ちゃんのところへ行くのね」
夕実は、笑っていた。
「今日は休講だからな。ヤツめ。朝から盛ってるにちがいねー」
城田は、忌々しげに言い返す。
「邪魔しにいくんだ。野暮きちねぇ。ふふ。でも、仕方ないわよね。幾ら君とて、ジェラシーは押さえきれないものねぇ」
「人間ですからね」
フッ、と城田は苦笑した。
「あんまりそうは見えないけどね。気をつけてネ」
「了解」
夕実から免許証を受け取り、城田はうなづいた。
「城ちゃん。それから、これ。必要でしょ」
夕実が差し出したのは、車の鍵だった。
「夕実さん・・・」
「軽だから、アンタの体には狭いかもしれないけどね。急いだ方がいいわよ。少しでも、連橋の苦痛が和らぐようにね」
「サンキュ」
パシッと鍵を受け取り、城田は踵を返した。マンションの廊下を長い脚で去っていく。
「なんだか心配だわ・・・」
その後姿を見て、ほう、と夕実は溜息をついた。他の相手ならばいざ知らず。今だけは、城田の敵対しようとしているのは、あの、小田島なのである。自分のすべてを賭けてまで、忠誠を誓った男なのである。
「結構不器用だから、あの子・・・」
夕実にとって、城田はまだまだ子供だった。


城田は夕実の車を借りて、小田島のマンションに急いでいた。もう三日も連橋は監禁されている。その間、小田島が好き勝手をやっているのだとしたら、その体はかなり限界に近いだろう。そして、精神的にも追い詰められているに違いない。とりあえず、歯止めをかけなければならない。そう思っていた。無論。その意識の中には、嫉妬という言葉があるのは知っている。寧ろ、最優先でその言葉が頭を駆け巡っていた。
惚れているヤツが、他の男に抱かれているのは我慢出来ない。その相手が、己が忠誠を誓った男でも!!城田はアクセルを踏み込んで、更に小田島のマンションへと急いだ。


胡桃は、少し寝たが、やっぱり気になったのか、すぐに起きてきた。
「亜沙子さん、胡桃、駄目。なんか気になって眠れない・・・」
すると、パッとドアの隙間から、久人が飛び出してきた。
「くーみねーちゃん!」
「え?ひーちゃん?ひーちゃんまでいるの?これって一体どういうことなの?」
胡桃はキョトンとしている。そんな胡桃の心を知らずに、久人は、胡桃の膝小僧に手を回して、甘えてスリスリと擦り寄っていた。
「私がここにいるのは、胡桃ちゃんが思ってるような事情じゃないってことよ・・・」
亜沙子が胡桃を見て、少し悲しそうに呟いた。
胡桃の話術で、舎弟どもを追っ払い、亜沙子と胡桃は、城田の寝室に入りこんでいた。
「ヤバイ。ヤバイわよ。亜沙子さん、これじゃ、まるであたしたち泥棒・・・」
亜沙子と胡桃は、城田の寝室にあるクローゼットや箪笥をすべてひっくり返していた。
「だって、胡桃ちゃん。城田の私物はほとんどこの部屋だって言ってたじゃない」
「そうよ。城田くんは、むっちゃ几帳面で、他の部屋にはほとんど私物置いてないの。見たことあるのよ。主に使ってるのは、こことさっきのリビング。でもリビングには、ビデオテープと雑誌ぐらいしかないの」
「だったら、やっぱりココしかないのよ。お願い、胡桃ちゃん。協力してっ」
「わかってる。わかってるけど〜。あ、エロ本みっけ。わあ、いっぱい〜(笑)」
胡桃はクローゼットを開き、ケケケと笑った。
「気をつけて。それも貴重な資料よ。中になにか挟んであるかもしれないわ」
亜沙子は真面目な顔で言った。
「亜沙子さん・・・。真面目な顔で言わないでよ。胡桃、やだよ。とあるページがシワシワだったのを見つけたら。城田くんのイメージがガラガラと崩れる」
「あんなヤツ、剥けば、ただのスケベ男よ」
亜沙子はあっけらかんと言い返す。
「なんでもいいの。城田のパーソナルデーターがわかるものだったら。日記とか、メモ帳とか。走り書きとか。免許証があれば一番なんだけど、たぶんヤツは所持してるし」
亜沙子は箪笥の一番上の引き出しをごそごそと漁っていた。
「こっちはコンドームだらけよ」
腕を止めて、亜沙子がげっそりとした顔になった。
「こんなことするより、あてずっぽうで、数字当てた方が早いよ」
亜沙子は胡桃に、金庫のことを話していた。そして、これまでの事情もすべてを。
「無理よ。さっき、何度もやったもの。それこそ、時間がかかってしようがないわ。城田のことがわかれば。アルバムでも、生徒手帳でも。とにかく、ヤツが一体その鍵に、なんの意味を込めたのかを知ることが出来れば」
「城田くんの誕生日、聞いておけばよかったなあ」
胡桃が、ポリポリと頭を掻いた。
「・・・突然だけど、胡桃ちゃん。そういうことだから。アタシと城田ってそういう関係なの。だから、私のことは気にしないで、城田のこと好きでいてね」
亜沙子は引き出しを一段目に戻しながら、横顔で言った。
「亜沙子さん・・・」
胡桃はそんな亜沙子を見つめつつ、うつむいた。
「私がどんなに城田を好きでも、惚れても、私達の関係はどうにもならないのよ」
「・・・そんなの関係ないじゃない。だったら、亜沙子さんが、城田くんの方へ逃げちゃえばいいのよ。そんな中途半端なまま、連ちゃんの傍にいたって、連ちゃんだって辛いだけよ」
亜沙子は、二段目の引き出しを引きずりだしながら、ピクリ、と胡桃を振り返った。
「そんな・・・。そんな、簡単に言わないで!連ちゃんは、私の弟なのよ。もうずっと一緒にいた、とても大切な弟なの。私は連ちゃんを守りたいの。流くんと約束したんだもの。ううん。連ちゃんとも。だから、そんなこと、出来ないのよっ」
亜沙子はブンブンと首を振った。
「ご、ごめん、亜沙子さん・・・」
胡桃の驚きように、亜沙子はハッとした。
「私こそ、ごめんね・・・。胡桃ちゃん、なんにも関係ないのに・・・。つきあわせちゃって、挙句に巻き込んでしまって本当にごめんね。でも、城田のこと・・・よろしくね・・・。アイツ、ひねくれた男だけど、きっと本当はとても淋しがりやだと思うの・・・」
すると、パッと胡桃は笑顔になった。
「よ、よろしくされても困っちゃうしぃ。城田くんって単なるセフレだし。あのね、亜沙子さん、胡桃、彼氏いるんだよぉ。亮くんって言うの。とってもカッコイイの。城田くん程強くないけど、でもいい人よ。だから、胡桃は、あんまり城田くんマジじゃないの。でもぉ〜。協力はするわ。胡桃、亜沙子さんのことも連ちゃんのことも、ダイスキだから!さあ、もっと気合いれて探そうね。胡桃だったら、絶対に番号忘れちゃうから、メモ残しておくしなぁ」
パラパラと胡桃は、城田所有のエロ本をチェックしながら、元気に言った。
「胡桃ちゃん・・・」
亜沙子には、胡桃の気遣いが嬉しかった。堂々と愛せる自分に比べて亜沙子は・・・と、胡桃なりに気遣ってくれたのだろう。それがわかったからこそ、心から、亜沙子は胡桃に感謝した。
ワタシタチハ、アイシアエナイ・・・。
城田と近い立場にいる胡桃の方が、城田を自由に愛せるのだ。


その部屋に脚を踏み入れて、城田は眉を寄せた。
「義政」
部屋に置かれている大きな画面には、連橋と小田島の絡みが映し出されていた。
「よお、城田。やっと来たか。どうだ?おまえも観てけよ」
「なにやって・・・。連橋?」
連橋は、全裸のその体をすっぽりと小田島に抱かれたまま、グッタリとしていた。
「ちょい元気がなくなっちまったから、嗅がせてやったら、余計にグッタリしちまった」
「薬か?」
「合法だよ」
「ラッシュ?」
「ああ。それよか、観ろよ。連橋のヤロウ。よく映っているだろ」
城田は、画面に目を向けた。連橋がちょうど、小田島のペニスを咥えているところだった。
「いい記念になるってとこか」
はっ、と城田は肩を竦めて、すぐに画面から目を逸らした。
「観てると、興奮するぜ。何度ヤッてもな。体が合っていくのがすごくわかる」
「合わせてンだろ、無理やり!!!」
城田がやや力を込めて皮肉った。その言葉に、グッタリとしていた連橋が顔を上げた。
「城田・・・!」
バチッ、と城田と連橋の目が合う。
「よお、連橋・・・。いい格好だな・・・。ご愁傷様ってところか?」
前髪をかきあげながら、城田は連橋を見下ろした。その瞳は、まっすぐに連橋を見つめていた。
「うせろ・・・」
連橋が弱々しげに言っては、小田島の腕から抜け出すかのごとく、体を捻った。
「おっと。少しは元気が出たみてーだな。おまえがいると、刺激になるらしい」
クククッと小田島が笑って、連橋の体を後ろから抱きしめた。
「やめろ、離せっ!」
途端に、連橋の抵抗が大きくなった。
「見てろよ、城田。ちょっとの間で、コイツはすげえ淫乱になったぜ。あの連橋が、だ」
小田島は、グイッと連橋の髪を掴み、その頭を床に押さえつけた。そして、腰を抱え上げる。
「そのうち、自分で腰振ってくるからよ・・・」
ニヤリと笑うと、小田島は、剥き出しの連橋のアナルに舌を差し込んだ。
「!」
ビクッ、と連橋の背中が反りあがった。
「マジで見せる気かよ」
呆れたような城田の声が部屋に響いた。
「冗談じゃねえぜ・・・。おい、いい加減にしとけ、義政」
城田が小田島の肩を掴んだ。だが、小田島はその腕を振り払った。
「うるせー!コイツはあと少しで俺のモンになる!じっくりてめえもそれを見ておけっ。そこ、座れ。見とけっ」
小田島の語気の荒さに、城田はフウッと小さく溜息をついて、その場に片膝ついて座った。
「やめろ・・・。城田、出てけ・・・っ。うあっ!」
連橋が、叫んだ。小田島の指が、連橋のアナルをズブリと犯した。
「うう。い、いやだ・・・。いや、だっ!」
はっきりと拒否を口にして、連橋は、体を動かし、フローリングの床をずりあがった。
その様子を見て、城田はチッと盛大に舌打ちした。
「義政。いい加減にしとけ。ビデオはあとでちゃんと見るから。頼むから、キモいモン見せてくれるな」
小田島の、連橋の尻にかかる手を引き剥がそうとした城田だったが、それもまた振り払われる。
「いいから・・・。見とけって言ってンだろ。邪魔したら、キサマ、ぶっ殺すぞ」
小田島の目は殺気立っていた。さすがの城田もそれには閉口した。
「・・・」
手がつけらんねーぐらい、メロッてやがる・・・と城田は思った。
この体に溺れて・・・。行きつくところは、どこだか知っているのか?義政・・・と、城田は心の中で問いかけていた。
「ん、んぅ」
「ほら、腰振ってるじゃん」
小田島がニタついていた。
「逃げてンだろ」
城田が白けた声で言い返す。
「ちげーよ!」
ムキになって小田島は言った。
チュプッ、と音を立てて、小田島は連橋のアナルをねちっこく攻めた。
「んん。あ、・・・。し、城田、てめえ、出てい・・・けっ!」
床に爪を立てながら、連橋は絶叫した。
「お姫様もそう言ってるから、俺は出てくぜ」
立ちかけた城田を、小田島が睨む。
「座れよ」
また城田は舌打ちした。
「どっちなんだよ、てめえら!」
城田の心の中は、グラグラと煮えたぎっていた。勿論、嫉妬、でだ。


一方の連橋は、ただでさえ体調がおかしかったところに、変なものを嗅がされ、意識は既に朦朧としていた。そこへ城田が現れ、一旦は心の糸がピンッと張り詰めたが、それも長くは保たなかった。
薬物のせいなのだろうか。小田島が、攻めてくる場所から、体が蕩ける程の快感が溢れだしてきていた。小田島が触れるところ、すべてに感じてしまう。
「あ、あ、あ」
声すらも、もう押さえることが出来なかった。城田がいるのに。城田が見ているのに!!
ただひとつ、そこだけが、熱く火照っている。小田島の指が、舌が出入りしている場所。自分でも恥ずかしくなるぐらい、ひくつくアナルが、確かなモノを欲しがって震えている。
「んあ、んんっ」
既に連橋のペニスは、勃起していた。小田島の攻めは執拗で、指と舌を使い、挙句にはアナルの狭間にペニスを滑り込ませてきた。
「うっ」
楽になれる!と思ったが、小田島はペニスを中々挿入しようとはしなかった。
「はあ、はあ」
連橋の息が荒くなる。小田島のペニスは、連橋のアナルの狭間を上下にゆっくりと擦り上げていく。
「連橋。俺のが欲しいか?欲しいならば言ってみろよ。義政、挿れてってな」
「誰が、言うか・・・」
うつむいて、連橋は首を振ったまま、呟いた。そんなこと、誰が言う、か!
「言うまで、挿れてやんねえぞ。このケツマンコにな」
小田島はペニスを引き、また、指と舌で、連橋のアナルを掻き回し始めた。
「んん、ん・・・。ああっ」
連橋は乾いた唇を、舌で舐めた。むず痒くなる程の、欲望。
「ほら、見てみろよ。ビデオのおまえは、突っ込まれて、感じてるぞ」
ちょうどビデオでは、連橋のアナルに小田島のペニスが挿入される瞬間を映し出していた。連橋は髪を掴まれて、その画面を強制的に見せつけられた。
そして、大きく映し出される、確かに感じた自分の顔・・・。
ゾワッ、と連橋の体が震えた。ビデオから聞こえてくる卑猥な音と声が、すべて自分のものなのだ。
連橋は、ピクッと顔を上げた。そして、ゆっくりと城田を振り返った。その瞬間、一瞬自分の瞳が濡れそうになって、連橋は堪えた。城田は、切れ長の瞳で、連橋をジッと見つめていた。
その視線は、どこか切なく、甘く、優しげだった。そして、城田の視線は、小田島より激しく、自分の心の中を見透かしているかのように、連橋には思えた。
「!」
その、城田の視線が、とうとう連橋を堕とした。
「挿れて・・・。義政、挿れ、て・・・」
連橋が、途切れ途切れに言った。それは、とても甘い声だった。
返事もせずに、小田島は連橋のアナルにペニスをぶち込んだ。
「あーっ!」
連橋の悲鳴が部屋に響き渡り、ビデオの中の声と重なる。
「うう、んんっ」
ビュクッ、と連橋が即座に射精した。小田島は連橋の腰を抱えて、グイグイと無我夢中でペニスを突きいれた。
「うっうっ」
小田島も獣めいた声で、連橋の中を味わっていた。大きく開いた連橋のアナルから、滴る淫液が、太股をトロリと伝って落ちていく。
どれだけの時間が経過しただろうか。小田島が声を上げて、連橋の中で射精した。連橋のアナルからは、収容しきれない小田島の精液が零れ落ちていった。
「気が済んだか?」
息を荒げる小田島に声をかけると、城田は連橋の脇に片膝をついた。
「苦しいか、連橋。おまえ・・・」
城田は連橋の額に手をやった。
「熱があるんだな・・・」
城田の掌には、連橋の額の熱が、ジンッと伝わった。
「熱だと?」
小田島はキョトンとしていた。
「コイツの体調が悪いのに気づかなかったのか?このマヌケヤロー!」
城田は小田島を睨んだ。
「し、知らねえよ・・・。た、確かに、なんか動きが鈍かったけど・・・」
城田の迫力に、小田島は、竦み上がった。
「すげえ熱だ。バカヤロウ。気づけ!全裸で放っておくからだ。服持ってこい!」
城田は小田島に向かって怒鳴った。
「ふ、服は洗濯機にいれたままだ」
「バスローブか、バスタオル、もってこい」
「ああ」
慌てて小田島は部屋を出て行った。
「連橋」
城田はゆっくりと連橋を抱き上げた。
連橋は既に意識を飛ばしていて、目を閉じていた。長い睫は、ピクリとも動かなかった。


「亜沙子さーん。もう無理よ。舎弟どもが絶対怪しんでる〜」
胡桃が音を上げた。亜沙子も思わず部屋のドアを見た。
「わかってるわ。どうしよう」
「こんなことしてたってもう無理。頭で考えようよ。番号」
「番号たって・・・」
「亜沙子さんならば、どういう番号つける?大事なものに」
胡桃の質問に亜沙子は唇を噛んだ。
「・・・誕生日よ、やっぱり」
「うーん。胡桃もだ。城田くんってなんか獅子座ってイメージだから、獅子座かな」
「獅子座って何月だっけ?」
「えと・・・。あれ?うーん。あっ、そうだ。胡桃ね。好きな人の誕生日番号にするかも」
ポンッと胡桃は手を叩いた。まるで、名案!と言わんばかりに。
「好きな人?」
亜沙子は目をパチクリした。
「うんうん。好きな人。亜沙子さん、しない?」
「するかも・・・」
二人は顔を見合わせた。
「アイツの好きな人って誰?」
シーン。一瞬静まり返ったものの、亜沙子はハッとした。
「待って。それ、あるかも!」
亜沙子はクローゼットを開けて、金庫の前に座り込んだ。4桁の番号をカチリカチリと合わせていく。
「!」
カチャン・・・と音がして、金庫はあっさりと開いた。
「嘘、すごい!」
胡桃が大きな声をあげた。
「開いた・・・」
亜沙子は呆然としながら、呟いた。
「亜沙子さんの誕生日?」
胡桃が聞いた。すると、亜沙子は苦笑した。
「残念だけど、私のじゃないわ・・・」
そう言いながら、亜沙子は金庫の奥深くにしまわれた、黒い銃を取り出した。
「じゃ、その番号は誰の誕生日なの?」
胡桃が問いかける。すると、亜沙子はクスクスと笑い出した。
「0816。8月16日生まれ。連ちゃんのよ」
「え?」
胡桃が絶句した。
亜沙子は銃を握り締めながら、改めて城田の頭の良さを知った。
なぜ、昨日、城田が告白をしたのか。彼は、この銃を、亜沙子が手に出来るヒントを与えていたのだ。つまり、亜沙子に手渡すように仕向けていたのだ。自分では、絶対に出来ないことだから。
「ありがとう、胡桃ちゃん。これで、やっと、動けるわ、私」
亜沙子は、銃をギュッと抱きしめた。

続く
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