BACK TOP NEXT
****3部13話***
目が覚めると、小田島はいなかった。何時だ?と思って連橋は体を動かした。ジャランッと手錠が鳴り、ベッドが軋んだ。
「!」
手錠・・・。ベッドサイドに括り付けられた手錠により体が拘束されていることに気づき、連橋は舌打ちした。
「小田島ッ!手錠を外せっ」
連橋は声をあげた。広い室内にはただベッドしかなく、そこには小田島の姿がない。だから、叫ぶしかなかった。
「小田島。クソヤロー。ほどけぇっ」
ジタバタと連橋は暴れた。すると、騒ぎに気づいたのか、ドアが開いた。
「うるせーな」
現われたのは小田島ではなく、小田島の舎弟らしかった。二人いる。
「てめえら。あのバカ呼んでこいっ!」
「バカだと?小田島さんに向って・・・。バカはてめーだろ、連橋」
ニヤニヤと舎弟達は、ベッドの上の全裸の連橋を見下ろしていた。
「随分楽しんだようだよなぁ。隣の部屋にも聞こえてきたぜ、おまえの鳴き声」
「ジレンの連橋ともあろうものがなぁ。突っ込まれてアンアン言っちまってさぁ。滑稽だよな」
男らに下卑た言葉を投げつけられて、連橋は屈辱に体を震わせた。
「るせえよ・・・。てめえら下っ端に用はねえ。小田島呼んでこいって言ってんだろ」
「オンナノコには優しくしろって言われてるけどぉ。それはムリな相談ってもんだよ、連橋ちゃん」
「そうそう。気の毒だけど、我慢してねぇ。おしっこも垂れ流していいし、糞もそこでやっていいんだぜ」
「・・・ふざけんな!!」
男達は、ケタケタと笑った。連橋は、もがいた。
「外せ。手錠を外せよっ」
もがく連橋を男達は楽しそうに見下ろしている。
「くそっ。ちきしょうっ」
この手錠さえ外れれば、目の前のこんな弱そうな奴らなんぞぶん殴ってやるのに!そう思いながら、連橋は体を捩った。激しくもがいたせいで、開いた脚の間から、トロリと零れ落ちるものに気づき、連橋はギョッとした。
「っ」
慌てて連橋は、脚を閉じた。注ぎ込まれた小田島の精液が、尻の穴から零れたのだ。その事実に、連橋は我知らずに頬を紅潮させた。
「?」
男達は連橋の様子に一瞬キョトンとしたが、顔を見合わせた。
「ああ。出ちゃったって訳」
「へ〜え」
ギシッ、とベッドが軋んだ。男の一人が連橋の体に触れた。
「触るな」
即座に連橋は叫んだ。
「拭いてやろうか」
一人の男が連橋の膝頭を掴んだ。
「いらねえよ。触るな、触るなっ」
連橋は首を振った。だが、男の手は容赦なく連橋の膝にかかり、グイッと開いた。
「ああ。ちょっと出てる。どれ」
ちょん、と男の指が連橋のアナルを突付いた。
「うあっ」
連橋がひくついた声をあげた。
「ひゃっ。すっげえ。出る・・・」
キュッ、と連橋のアナルの皺を男が引っ張ると、そこからは、ドロリと精液が零れ落ちた。もう一人の男もヒョイッと開かれた連橋のアナルを見て、口笛を吹いた。
「何回分ぐらい入ってんのかな?」
クスクスと男達は笑った。
「やめろっ」
必死に連橋は脚を動かし、男達の目の前に晒された自分のアナルを隠そうとした。必死さと羞恥に連橋の頬はますます紅潮した。
「見てみろよ、兄貴。連橋のヤツ。真っ赤になってやがる」
「ホントだ。こうしてみると、可愛いじゃん、コイツ」
「手を離せっ!」
連橋は怒鳴った。
「な、なあ。なんか挿れてみたくなった。ちびっといいかな、兄貴」
連橋のアナルを撫でながら、男の一人がゴクリと喉を鳴らした。
「・・・お、俺も。小田島さんがあれだけ夢中になるんだから、イイのかもしれねえしな」
もう一人の男もうなづいた。
「こんなに濡れてるし、スルッと入っちまうよ。すぐ済むよ」
「ああ。小田島さんも幸い留守だしな。帰ってくるまでに、風呂入れちまえばいいし」
「ふざけんな、てめえら」
男達は、さっきとガラリと変わった視線で連橋を見た。
「小田島さんには内緒にしておいてやるからさ。一緒に楽しもうぜ、連橋」
「突っ込まれるの好きだろ?おまえ、淫乱らしいからな。誰のチンコでも構わないだろ?」
「冗談じゃねえよ。誰が、好きなもんか。やめろっ!」
ブンブンと脚を動かし連橋は抵抗した。だが、その抵抗が逆に男達に攻撃を許してしまう結果になってしまう。
「さ、先に俺だ」
兄貴分らしき男が、連橋の足首を掴んだ。
「あっ」
ググッと片足を持ち上げて、男は連橋のアナルに勃起したペニスを押しつけた。
「ああっ」
瞬く間に濡れそぼったアナルにペニスが突き立てられた。
「あ、やめっ。やめろ」
もう一人の男が、もう片方の連橋の足首を掴んで持ち上げた。二人の男の手によって、連橋の両脚が持ち上がり、下半身の、奥の奥までが晒された。
「あ、兄貴。バッチリ入ってますよ」
「う、うん。き、気持ちいい。すげえ締まるぅ」
ズシュッと、男が腰を進める度に、濡れた音が響いた。
「ひっ。うっ。くぅ」
与えられる下半身からの疼きに、連橋がたまらずに声をあげた。
「あ、んぅ」
掠れた連橋の声が部屋に響いた。明け方近くまで散々小田島に貫かれたアナルだっただけに、まだ余韻が引いていなかった。連橋の体は、すぐに男のペニスに反応してしまった。
「うっ。うう」
苦しげにうめき、時折赤い舌が覗く連橋の口元を、挿入してない方の男がじっくりと眺めていた。
「確かに、コイツ。すげえ色っぽいや、兄貴」
「穴も色っぽいって。締め付け方、半端じゃねえよ」
ハアハアと男の息が荒い。
「た、たまんねえっすよ。早く交代してくださいよ、兄貴」
「ちょっと待てよ。こんな機会滅多にねえよ」
ゆさゆさと男は連橋の腰を揺らした。持て余したもう一人の男は、連橋の勃起したペニスに指を絡めて扱いた。
「んんっ」
ヒクッと連橋の顎が仰け反った。
「あ。それ、イイ。今、なんか中が反応した」
挿入している男が叫ぶように言った。
「へ?これ?」
男がシュッシュッと連橋のペニスを扱いた。
「うわ〜。すげえ。コイツ、感じてるんだ。穴がヒクヒクしてやがる。いいぞ、そのままイカせてやれ」
「了解っす」
「やめろ。嫌だ、嫌だあっ」
連橋が首を振って叫んだ。だが男達は、同時に連橋の弱い箇所を容赦なく攻め立てた。
「あ、あ。んんっ」
バッ、と先に連橋のペニスが射精し、僅かに遅れて中の男が射精した。
「ひー。次、俺、俺っす」
興奮した男が、兄貴分ということも忘れたかのように、射精を終えた男を突き飛ばして、泡だったアナルにガチガチのペニスを挿入した。
「ひっ。う。んん。あー」
連橋の悲鳴が続けざまに部屋に響いた。
「お、わ。マジ、イイ」
震えるように吸い付く赤い、連橋のアナルを視線で犯しながら、後から挿入した男は、腰を振った。
「こんな小さい穴でも、すげえ威力だよな」
もう一人の男は、連橋の射精を終えたペニスをゆるゆると撫でていた。
「いやだ。も、う」
掠れた連橋の声に、男がニヤニヤと笑った。
「ジレンの連橋ともあろうものがもう降参かよ」
言いながら、男は連橋のペニスを握っていない片方の手で、連橋の乳首を指で弾いた。
「んっ」
「気持ちいいんだろ。この雌豚」
グイッ、と小さな突起を摘ままれて、片方の手ではペニスを握られ、また別の男は、連橋のアナルを執拗に突付いている。快感があちこちから湧き出してきて、連橋にはどうすることも出来なかった。ただ無理やり与えられてくる快感に喘いだ。
「んぅ。んっ」
後から挿入してきた男は、ねちこく連橋のアナルを嬲っていた。その気持ち良さから、解放されたくないとばかりにクルクルとしつこく突付いてくる。
「は、あ。あ、あ!」
連橋は二度目の射精を強引にさせられた。腹が自分の精液で濡れそぼっていた。
「たまんねえな」
チッと男は舌打ちして、勃起した自分のペニスを喘ぐ連橋の唇に含ませようとした。
「兄貴。ソイツ、ソレはヤバイかも。食いちぎられるかも」
「そうかもな」
仕方ねえ、と男は舌打ちして、自分で扱きあげ、連橋の顔目掛けて、射精した。
「くっ」
連橋の顔が、男の精液まみれになった。
「アハハハ。いいザマだぜ。ジレンの連橋に顔射してやったぜ。アハハハ」
「こっちもイク」
やっと、連橋の中の男もブルリと体を震わせて、連橋の襞目掛けて精液をぶちまけた。
「あーーーーっ」
体の中で爆発した精液に、連橋は堪えきれずに悲鳴をあげた。
「もう一回。もう一回やろうぜ。出してからさ」
男達が連橋の濡れたアナルに指を突っ込んで、連橋の脚を強引に揺らした。
「あ、く。やめろ」
小さな音を立てて、連橋のアナルから、精液が零れ落ちてきた。
その時、バタンッと音がして、ドアが開いた。
「きさまら・・・。なにやってんだよ」
その声に、男どもはヒッとした。
「お、小田島さんっ」
小田島は、ずかずかと部屋を横切り、ベッドの上の連橋を見た。顔から腹、アナルまでがびっしょりの状態で、小田島はその場で切れた。無言で、男二人を殴りつけた。ジーンズのポケットから取り出したナイフが煌いた。
「す、すみません。小田島さん。すみませんっ!」
舎弟達は土下座して、小田島に平伏した。
「あれほど手を出すなって言っておいたのによ。てめえらのボスによく言っておいてやるよ。お仕置きをきちんとしてくれってな」
小田島は血走った目で、男の一人の頬にナイフを当てながら、低く囁いた。
「清人は容赦しねえぞ。アイツは、この前のミスで俺には頭があがらねーからな。失せろっ!」
ヒイッと、男達二人は、部屋を出て行った。小田島はナイフを床に捨てると、放心状態の連橋を見下ろした。
「おい、節操ナシ。男と見れば誘ってンじゃねえぞ」
「・・・誰が誘うか・・・」
連橋は虚ろな瞳のまま、それでも言い返した。
「尻の穴にチンポ入れてねえと淋しくて眠れないか?淫乱。俺の許可なく勝手に楽しみやがって」
小田島の言葉によって、連橋の瞳に、勢いが戻ってきた。連橋は、キッと小田島を見上げた。
「楽しんでなんかいねえっ!こんなこと、俺はちっとも楽しくねえっ。てめえと一緒にするな、変態!!」
「突っ込まれて勃起して。それでも楽しくねえと言うのかよ?気持ちいいんだろ?くそっ。いいか、覚えておけ。てめえの体は、俺のものだ。てめえのモンじゃねえ。俺以外とはセックスすんなよ。気前よく他の男にやるんじゃねえよ」
「寝言は寝てから言いな。俺の体は俺のもんだ!俺は、俺の望んだヤツとしかセックスしない!ふざけたことぬかしてんじゃねえっ。キチガイ」
怒鳴り返す連橋に、小田島はフッと笑った。
「じゃあ、望めよ。俺とヤりたいってな。ふん。ごちゃごちゃぬかすなよ。おまえの体は、俺のモンだ。少なくとも、今はな」
ペロリと、連橋の濡れた頬を小田島は舐めると、その唇にキスをした。
「ん」
唇を抉じ開け、舌を無理やりねじ込み、小田島は連橋とのキスに集中した。
「今夜もたっぷりつきあってもらうぜ。その為に、おまえにはゆっくりと休んでもらわなきゃなんねえんだよ。寝な」
小田島は、ベッドサイドに置いてあったペットボトルを掴むと、水を口に含み、ポケットから出した小さな錠剤を連橋の口に押し込んだ。
「なんだよ、これっ」
「眠れる薬。てめえが寝てる間に、色々と準備しておいてやるからよ。安心して眠りな」
再び連橋の唇に唇を押し当て、小田島は水を連橋の喉に送りこんだ。
体を揺する律動を感じたが、連橋は自分の腕も脚もがやたらと重く、自分の意思では動かせないことに気づいた。
「んう」
体内で膨らむのは勿論男のペニスだ。いつから突かれていたのかまったくわからなかった。意識がぼんやりとしていた。薬を飲まされてから、どれぐらい経つのだろうか。いずれにしても、もう夜が近いか、夜に違いない。
「くっ」
連橋は自分が服を着ていることに気づいた。だが上半身だけのTシャツだ。下半身は剥かれている。自分の体を犯しているのが小田島だということはわかっていた。正常位なので、小田島の顔が、すぐ上にある。また最悪な夜が始まった、と認識だけは出来た。どう考えたって最悪だ。小田島に、好き勝手に体を弄られることなど。場所はどこだ?ベッドの上ではない。でも柔らかい。ソファ?そう気づいたのは、小田島が、連橋の一番感じる部分を2、3度深く突いた時だった。
「あ、あっ!」
連橋は、イク、と思った。自分がイク時がもう、わかる。そこを軽くでも突かれれば体が悶え、強く突かれれば、恐ろしいぐらいの快感が噴出し、体が震え、尻の穴がきつく収縮するのが自分でもわかるのだ。
「う」
小田島が小さくうめいた。射精。
「ん、んんぅっ」
連橋もうめいた。何時の間にか勃起していた自分のペニスからも勢いよく精液が飛び散った。
「ちきしょ。イイ顔しやがって・・・」
忌々しそうな声と共に、小田島の体が離れていく。ホッとしたのも束の間、ズンッと体の奥が再び犯されたのに気づいて、連橋は「ひいっ」と声をあげた。小田島のペニスとは比較にもならないほどの巨大なものが、濡れた自分のアナルを塞いでいる。
「な、なに・・・?」
「零さないようにな。俺がせっかくてめえにあげたもんだからよ」
「ふざけんなっ!」
アナルに含まされたのが、巨大な張り型だと気づき、連橋はそれを引き抜こうと指を伸ばした。
「おっと。止めろよ。てめえら。押さえておけ」
その声に、小田島の他に部屋に何人かいるのに、やっと気づいた連橋だった。気配が読めない。頭がまだぼんやりとしていた。小田島とのセックスを、他の男達にも見られていたのかと思うとそれだけでも、屈辱に朦朧とする連橋だった。
「てめえ。この卑怯モン!俺に一体なんの薬飲ませたんだ?」
それでも、口だけでは反撃する。語気荒く言った。
「危ない薬じゃねえよ。そのうち意識もはっきりしてくる。城田に言われているんだ。ヤク漬けにしちまったら、おまえの体を楽しむ価値が半減するってな。俺もそれには賛成だからな」
「なんだとっ?」
男達の手によって、連橋はソファの背もたれに縫いとめられてしまった。もがくがビクともしない。そのうちに、誰かが連橋の顔を叩き、その痛みに連橋の抵抗がやんだ途端顎を持ち上げられて、顔に目隠しまでされてしまった。抵抗の出来ない状態で視覚まで奪われる。さすがの連橋も、ゾッと体を震わせた。今夜は、ただ小田島に抱かれるだけじゃ済みそうにない。
「小田島。てめえ、どういうつもりだ!」
「おまえを犯した証拠を残すだけだ。記念にな」
「なんだと?」
聞き返した途端、耳にビリッと音がして、着ているTシャツが破かれたのがわかった。すぐに誰かの手が、連橋のぷくりと膨れ上がった乳首を弾いた。
「っ」
自分では制御出来ない声がもれる。前に気配はない。すべて、事は連橋の背後で起こっている。連橋の両手の動きを封じているのも。弾いた乳首をそのまま、今度はきつく摘み上げているのも。グリグリとそのまま乳首を悪戯された。そのうち、誰かが両脇に座る気配がして、両脇から足首を掴まれて、無理やり膝を立てさせられて開かされた。フッ、と正面に人の気配をやっと感じて、連橋は竦みあがった。腕と脚。すべての動きを封じられ、挙句に張り型を含まされた下半身を晒している自分の姿を想像し、連橋は喉を鳴らした。前に立った男は、張り型を引き抜き、自身で俺を犯す男。小田島・・・。そう思った。だが、特にアクションは起こらずに、相変わらず乳首を弄くる指だけが、連橋の体にダイレクトに感じる感覚だった。
「んー」
乳首が痛くて。連橋はうめいた。その声と同時に、今度は半勃ちした連橋のペニスを、男のがさついた手が握りこんだ。複数の手だとわかった。たぶん両端に座っている男達が同時に握りこんでいるのだろう。
「!」
一つの手が連橋のペニスの先端を弄り、もう一つの手が根元を擦っている。
「あ、あっ」
堪えきれずに、連橋は声を上げた。胸元とペニスを同時に攻められて、身悶えする。
「もっと声出させろ」
小田島の低い声が背後から聞こえた。小田島は背後にいるようだった。では、前にいる男はなんなのか?考えている余裕が一瞬吹き飛ぶ。
「くっ」
小田島の声に急かされたのか、乳首とペニスを弄る手が異常に鋭くなった。
「う。あ、あ。やめっ。んんっ」
ヒクリ、と連橋は喉を仰け反らせて喘いだ。胸元とペニスから来る刺激が、張り型を含まされたアナルを直撃していた。ヒクヒクと、そこが淫らに蠢くのが自分でもわかって、連橋は必死に体を捩らせた。だが、やはり体は固定されたまま動かない。連橋の奥に深く突き刺さった張り型が微妙に切なく振動していた。
「んぁ。ああっ。あ」
自分の声が部屋に響くことに連橋は猛烈な羞恥を感じていた。視覚を奪われた今、聴覚だけが冴えわたる。
「いやだ。ああっ」
これは自分の声か?と思う。こんな泣きの入った情けない声。オンナみたいな、声。信じられなかった。悔しかった。仲間の誰にも聞かせることは出来ない声だと思った。
「んん。は、ぁ。あ、」
淫らな喘ぎ声。そして、それと同時に・・・。ジーッと低く振動する音。連橋はハッとなり、耳を疑った。唇を噛み締め、自分の喘ぎを押し殺し、耳を澄ませた。やはり、聞こえる。
『ビデオ!』
その事実に、ビクンッ、と連橋の体が震えた。
「やっと気づいたか。そうだよ。ビデオだ。いい記念になるだろ」
ニヤリとした小田島の声が相変わらず背後から聞こえた。その言葉が連橋の頭の中でゆっくりと回り出した時。体の中心に嵌めこまれた張り型がズンッ、と連橋のアナルを突いた。
「あっ」
連橋は悲鳴を上げた。
「あ、あ、あっ。いやだ、いやだぁっ!」
自分の前に感じ続けていた気配。これは俺を犯す男ではなく、俺を撮る男だったのだ!!
ビデオを見てる男は、股間が熱くなるのを感じた。複数の男達にソファに無理やり縫いとめられ、脚を開く目隠しの青年。どう見ても強姦ものだった。時折アップになる乳首や胸の皮膚などからは、少年と呼べない歳であろうことは察することは出来た。だが、青年と呼ぶには、まだ肌の艶もよく、綺麗だった。まさに、少年と青年の狭間にあるような肉体だった。乳首を擦られてあげる声が、低く時に甘く掠れている。いい声だと思った。ビデオの画面は、目隠しの青年が喘ぐ様を克明に映し出してはいたが、下半身を意図的に映していなかった。膝までは見えるのだ。青年自身のペニスの先端も見える。そのペニスに絡んでいる指も。だが。その下が見えない。焦れたように画面を見つめていると、青年の膝頭が、上下に律動し始めた。画面の中の青年の声が、一際高くなった。とても苦しそうだった。男は身を乗り出した。明らかに、映し出されていない青年の下半身の奥でなにかが起こっているのがわかる。男を愛でる趣味のない男ですら、事態を想像してもう股間が噴出しそうだった。どうなっているのか!そう思った瞬間、青年の限界の声が画面から聞こえ、ペニスから白い液体が散った。それと同時に目隠しが外れ、画面が下にずれた。
「!」
男は映し出された映像にギョッとした。青年は巨大な張り型を尻の穴に含まれさていた。それがしばらく、グッグッと体の中の肉を擦り上げ動かされていたかと思うと、勢いよく引きずり出された。そこから、ドロリと白い液体が溢れた出した。そう。今まで弄ばれていた青年の美しい肉体は、既にもう誰かに犯されていたのだった。青年の股間から、零れた精液が床にポタリと落ちていく。そして、グッタリとした青年の顔がようやく大写しになった。体と比例して、綺麗な男だった。紅潮した頬、伏せられた瞳を彩る長い睫、セックスの余韻でか、澄んだ茶色の瞳は切なげに潤んでいて、そんな顔で見つめられたらその気のない男でも、あっさりと押し倒してしまいたくなるような危うい色気をたたえていた。
「連橋優」
そして、それは予想通りの顔だった。男は掌にあった写真をグイッと握りこんでは、ブツッと画面を消した。既に、男の股間も射精を迎えていた。
「これは、克彦様にはとても見せられない。くそっ・・・」
いきなり本城克彦宛に送られてきた差出人不明の不審な郵便物を開封した克彦の秘書田上は、全身から冷や汗が吹き出るのを感じて、床にリモコンを叩きつけた。
「なんて残酷なことしやがるんだ・・・」
きっと、このビデオの中には、まだまだ続きがあるに違いない・・・。
続く