連橋(レンバシ)・・・区立第3中学校の3年生

流(ナガレ)・・・区立第3中学校の3年生

小田島義政(オダジマヨシマサ)・・・区立第1中学校の3年生

城田(シロタ)・・・区立第1中学校の3年生


------------3話--------------

連橋は、亜沙子の唇から自らの唇を離し、亜沙子を抱き締めた。亜沙子の綺麗な黒髪に顔を埋めかけて、ハッとして顔をあげた。
自分に向かってくる長身の男。ハイネックのセーターにブラックジーンズのその姿は、学ランを着ていた雰囲気とはまるで違うが、確かに見覚えがあった。
バッと、連橋は亜沙子を背に隠した。
「連ちゃん?」
「亜沙子、逃げろ」
「どうしたの、いきなり。いやよ、なに言ってんのよ。これからまだお祭りを」
「いいから、行け。先に家に帰れっ」
連橋は、背中で亜沙子をドンッと押した。
そうこうしているうちに、連橋に向かって、城田がゆっくりと歩いてきた。
「よお。奇遇だな、連橋」
城田はそう言って、笑いながら軽く手を挙げた。
「てめえは・・・城田」
連橋は、ギロリと城田を睨みつけた。
「そう。次に会った時に覚えてろよ。おまえはあの日、そう言った。だが、グズクズしてると俺は忘れちまう。だから、会いに来てやったぜ」
ニコッと城田は微笑んだ。連橋は、城田の雰囲気に「!?」と思って、僅かに後ずさった。
その瞬間だった。笑いが急遽引っ込み、バッと城田の拳が振りあがり、アッと言う間に、連橋の頬を殴りつけた。
「キャアッ!」
背後で亜沙子の悲鳴があがった。そして、砂利を踏みしめて、逃げる足音。
城田の、いきなりの拳に、連橋の体が宙に浮き、ドッと大木の幹に体がぶつかった。体制を整える暇もなく、城田は今度は腹に拳を埋めてくる。
「ぐっ、は」
連橋はうめいた。だが、次の瞬間には、城田の拳を掌で受けとめては、その手首を掴んで捻りあげる。さすがに城田は顔を顰めた。
「ちっ」
連橋は舌打ちして、手首を捻っている手とは逆の手で、ガコッ!と城田の右頬にパンチを入れる。かわせなかった城田は、さきほどの連橋と同じく大きくよろめいた。
「城田。てめえ、殺気なさすぎだ」
両手の拳を握りしめ、城田に向かって連橋は文句を垂れた。
「そんなもん、見せたらてめえを殴れねえだろうが」
再び城田はニヤッと笑った。そして2人の殴り合いが続く。参道を歩く人々は、祭りに夢中でほとんど彼等の争いに気づく者はいない。たまたま脇道にしけこもうとしていたカップルなどは、足を止めて殴り合う2人を見ていた。祭りに喧嘩はつきものだ、とぐらいに思っているのだろう。
「城田。いいぜ。それぐらいで切り上げろ」
小田島の声が脇道の更に奥の方で聞こえた。城田は、今まさに繰り出そうとしていた拳をピタリと引っ込めた。連橋が、声の方に、スッと視線を移動させた。
「おまえはあとから、俺のマンションに連橋連れてこい。先に行ってる」
「わかった」
ぜえぜえと息を吐いてる連橋を見下ろし、城田は冷やかに言った。
「つきあってもらうぜ。俺にな」
「ふざけんな」
大地に血の唾を吐きながら、連橋は城田を見ずに言う。
「女が大事ならば、ついてこい。小田島が、てめえの女を拉致ってるんだぜ」
「!」
連橋が目を見開く。亜沙子は逃げ切れなかった・・・。それに気づき、連橋はグイッと唇を拭った。
「姑息なやつら・・・」
心底呆れたような声で、連橋は呟く。そんな連橋をジロジロと城田は見ていた。
「どーりでなんか雰囲気違うと思ったら、前歯。いれたのか?」
そう言って城田は自分の前歯を指で示した。
「・・・関係ねえだろ。とっととどこへでも案内しやがれよ」
バッと連橋は顔をあげて叫んだ。
「せっかくいれた歯が、また台無しになんねえといいけどな。小田島は、イッちまうと手がつけらんねえタイプだからな」
「それはてめえもだろ。気持ちわりー目しやがって」
「そうか?」
「薄気味わりー目」
プイッと言って、連橋は歩き出す。
「どこへ行く。案内は俺がするんだぜ」
城田は連橋を追いかけた。
「だったらとっとしやがれよ。てめえと並んで歩くつもりは、俺にはねえよ」
ジーンズのポケットに手をひっかけ、連橋は城田を振り返った。
「俺だって、そんなつもりはねえよ」
連橋は、おとなしく城田の後をついて歩いてきた。勿論交わす言葉はない。頭上の月が、城田と連橋を照らし出している。
「・・・女がマジで拉致られたと思ってるのか?」
城田は前を向いたまま、後ろの連橋に問いかける。
「それが嘘なら、もっと、ことは簡単だろ。てめえと小田島ぶっ殺して、それでオシマイじゃねえかよ」
「・・・シンプルだな」
連橋はプラス思考だな・・・とふと城田はそんなふうに思った。そして再び無言で歩く。やがて、小田島義政名義の、小奇麗なマンションが目の前に現れる。

立ち止まり、城田は振り返る。連橋は、うつむいていた顔を上げた。連橋の金色の髪が、月の光を反射して、輝いた。城田は僅かに目を細めてそんな連橋を見つめた。連橋は視線に気づき、思いっきり不審な顔で城田を睨んだ。
「なんだよ」
「綺麗だな」
「なにが?」
いきなり城田が呟いた言葉に、連橋は器用に片眉をつりあげた。
「月が、に決まってンじゃん」
城田は、連橋をまっすぐに見たまま、言った。
「アホか」
連橋は吐き捨てた。そんな連橋の様子を楽しんでから、城田はオートロックを解除した。


ほとんど使われていないことがわかる部屋だった。まだ引越しの後片付けが終わってないようで、ダンボールなどがあちこちに散乱している。城田の後をついてきていた連橋は、終始落ち着いていたようだったが、部屋の中央にいた小田島と亜沙子を見ては、さすがに目を見開いた。
「連ちゃん・・・」
部屋の中央に座っていた亜沙子の左頬は、真っ赤だった。明かに殴られたのだ。おまけに、セーターは剥ぎ取られて、豊かな胸が露わになってた。その横には小田島がニヤニヤしながら座っていた。
「!」
連橋が、城田を押しのけて、小田島の側に行こうと踏み出した。
「連ちゃん、後ろッ」
亜沙子が叫んだ。連橋はハッとした。頭に血が昇って、背後の城田を忘れていたのだ。
無防備になった連橋の背を、城田が思いきり蹴飛ばした。
「!」
不意打ちにつんのめり、連橋は床を転がった。そのまま連橋の背を足で踏みつけ、近くにあった引越し用の梱包ロープを、城田は素早く手にすると、適当な長さのところで歯でロープをブツリと切った。そんなことをしている間に、おとなしくしている連橋ではなかった。起きあがり、城田を殴りつけた。だが、城田は敢えて、2回は連橋に殴られ、そして3回目で、連橋の腕をガシッと掴んでは、その手首を後ろで纏めて、ロープをまきつけた。
「ざけんなっ」
連橋が慌てて手首のロープを解こうとしたが、素早い城田は、既に連橋の手首を纏めてあげていた。
「義政。くれてやる。ただし、そのままじゃ、まだまだソイツは暴れるぜ。どっかに縛りつけておくんだな」
そう言って、城田は再び連橋の背を足で蹴り上げた。ドサリと、連橋は亜沙子のすぐ横に倒れた。
「連ちゃん。ごめんね・・・」
亜沙子の目から、ポロポロと涙が零れた。
「おまえのせいじゃねえよ」
連橋は、手首をきつく拘束された痛みに、僅かに顔を歪めながら、そう言った。
「カッコつけてンじゃねえよ、こんな姿で」
小田島は、下卑た笑いを浮かべながら、連橋の手首のロープを引っ張った。
「ブザマな格好だぜ。へっ。ざまーみろ。てめえに味あわされたあん時の屈辱、たっぷりお返ししてやるぜ」
小田島は、余ったロープを、リビングに無造作に置いてある高価そうで頑丈なテーブルの脚の1つに、括りつけた。連橋は手首を背中で拘束されたまま、小田島を睨んだ。
「これ、解け。てめえ、小田島。俺を縛りつけねえと、勝負できないっていうのかよ。いくじのねえことやってるから3中に勝ち持っていかれるんじゃねえよ」
連橋は叫んだ。
「俺が勝ちを持っていかれたのは、3中の山野でもなんでもえねえよ。おまえだろうが、連橋。ガキの喧嘩に、凶器出しやがって。とんでもねえヤツだぜ」
バシッと小田島は、連橋の頬を左の掌で叩いた。


小田島と連橋が言い争っているうちに、城田の方は亜沙子に近づいていた。
「な、なにすんのよ」
「この状況で、なにすんのもなんもねえだろ・・・。つまんねえ質問するなよ」
城田は本気でつまらなさそうに、言った。
「いい加減にしなさいよ。こんなことして、警察に訴えるわよ」
髪を振り乱し、亜沙子は近づいてくる城田に向かって怒鳴りつける。
「やってみな」
城田は、冷やかに亜沙子を睨みつけた。バンッと、亜沙子の体を城田は体の下に組み敷いた。
「いやよ、離してよっ!」
城田の体の下で、亜沙子は暴れた。無我夢中で暴れた。だが、容赦なく城田は亜沙子のジーンズを下着ごと剥ぎ取った。そして、亜沙子の上の馬乗りになって、両脚でその細い腰を挟みながら、城田は自分のジーンズを下ろした。
「信じられないっ。いやよっ、いやっ。ふざけるんじゃないわよっ」
「黙ってな。俺は、女の子は殴りたくねえんだよ」
「レイプされようとしている女が、黙ってる筈ないでしょ。なによ、なによっ!アンタなんか、女に不自由してなさそうなんなツラで、なんでこんなことすんのよぉっ」
亜沙子の脚が、ジタバタと動いた。
「おまえが連橋の女だったから、こういう不幸な目に遭うんだよ。可哀相にな」
城田はうっすらと笑って、女の脚を持ち上げた。
「きゃあっ。連ちゃん、連ちゃんッ!」
亜沙子は、城田の胸を押しのけて、必死で連橋を見た。
「助けて、連ちゃん!」
ポロポロと亜沙子の瞳から涙が溢れた。
「呼んでるぜ、連橋」
「・・・」
顔を背けようとしても、小田島が連橋の金色の髪を掴んで、離さない。部屋の中央で、城田に犯されようとしている亜沙子を、連橋を見なくてはならなかった。
連橋、ギリギリと唇を噛んだ。
「呼ばれたって、どうしようもねえよな・・・。おまえがこんなんじゃな」
小田島は、連橋の手首のロープを引っ張った。引っ張られると、手首が引き攣れて、かなり痛かった。だが、連橋は唇を噛んでそれを堪え、亜沙子を見ていた。


慣れているらしく、城田はあっさりと亜沙子に挿入した。亜沙子は泣き叫んでいた。
「痛ッ。痛いわよ、下手くそっ」
「よく言うぜ・・・。だったら、締めるのやめれば?」
城田は、亜沙子の脚を更に開いては、ズブズブと侵入していく。
「ひっ、あっ。ああっ」
いやいや、と亜沙子は首を振った。開かされた亜沙子の脚の中央で、城田の腰が、慣れたリズムを刻んでいる。

小田島はその光景を見ていて、頬を紅潮させていた。すぐ脇の連橋を見下ろすと、連橋は黙って城田と亜沙子を見つめていた。小田島は、チッと舌打ちした。
「てめえの女が、他の男に犯されているのに、少しは動揺したらどうだよ」
勿論、連橋は小田島の言葉を綺麗さっぱり無視した。
「可愛くねえヤツだな」
言うなり小田島は、バシッと連橋の頬を殴った。
「っ」
その時だけ、ギリリと引き締まっていた連橋の唇が、僅かに開いた。
「やべ。ちょい、興奮してきたかもしんねー・・・」
小田島はそう言って、ペロリと舌で唇を舐めた。


城田に無理矢理含まされた異物のせいで、亜沙子はひっきりなしに、喘ぎをもらしていた。自分ではコントロール出来ないのだ。泣きながら、亜沙子は城田を見上げた。快感を感じている筈の城田の顔は、ほとんど変わっていない。
「不感・・症・・・。楽しくねえなら、やめちまえっ」
精一杯の罵倒の言葉を亜沙子は、城田に投げつけた。
「んなことねえぜ。それなりに感じてるから、安心しろよ」
「サイ・・・テー」
ドッと城田の体が自分の体に倒れてきて、亜沙子は悲鳴をあげた。城田の激しい動きについていけないのだ。連橋がいつも自分に与えてくれる優しい愛撫とは大違いだった。そう思うと胸が痛んだ。亜沙子は、再び泣き出した。


小田島は、連橋を縛ったまま、何度も何度も殴りつけていた。本当ならばこの拘束は解いて、堂々と連橋とやりあうつもりだった。だが、いつしかそういう気持ちは消えて、ただひたすら無抵抗の連橋を殴りつけることに快感を覚えていた。
「っ・・・」
連橋は、顔に、腹に、脚に、小田島の攻撃を受けて、その場をのたうちまわった。どうすることも出来ない。城田が縛った手首の拘束を、必死に外そうと背中の手を動かした。だが、切れなかった。ちくしょう!と何度も心の中で叫んだ。諦め切れずに、体を捻り、手首を動かし続ける。その間にも何度も小田島のケリを腹に受けた。
「あっ」
胃の中のものが、逆流しそうになって、連橋はうめいた。小田島が、先ほどから乱暴に連橋の髪を掴んでいる。今もそうだ。そうして小田島は、連橋が苦痛に顔を歪めているのを見ては楽しんでいるのだ。小田島に打たれた時に唇を切ったせいで、連橋の唇からは血が流れていた。そんな唇の奥で、濡れた舌が、痛みに喘いでいる。小田島は、その様子に目を見開いた。そして、まじまじと連橋の顔を覗きこむ。整った鼻筋に、睫が長い切れ長の薄い色の瞳、そして極めつけは血で濡れた赤い唇。ゾクリと、小田島の背に、妙な疼きが這い上がってきた。その感覚に小田島は、ゾオッとした。確かに自分は、ゾクゾクしていた。無抵抗の連橋を殴り、蹴ることに。ほとんど興奮していた。興奮していたが・・・。小田島は自分の股間に手を伸ばした。
勃起してやがる・・・。そう思って目を見開いた。あまりのことに、小田島は、再び連橋の頬を平手で殴った。返す手で何度も打った。なんで・・・!どうして、こんなことに・・・!暴力がある種の快感を呼ぶとは、知っていたが、自分の体にこんなあからさまな反応が起きたのは初めてな小田島だった。
「城田っ」
小田島は、城田の名を叫んだ。
「今、クライマックス中」
城田のそんな答えが戻ってくる。
「うるせえ。ちょっとこっち来い」
「ムチャ言うなよ」
「交替しろ」
「なんだと!?」
さすがに城田は、ギョッとしたようだった。語尾が上擦っていた。
「こっち来い」
「・・・ざけんなよ」
だが、城田は、小田島の命令に従った。僅かな後、亜沙子の腹の上で射精してから、城田は立ちあがった。亜沙子は、グッタリと床に倒れたままだった。
「コイツ、仕上げておけ」
連橋を指差して、小田島はそう言った。
「もう充分だろ」
連橋は、グッタリと床にうつ伏せたままだった。
「違う」
「なんだ・・・よ」
といって、城田は小田島の股間に目をやった。
「オイオイ。マジかよ」
ジーンズの上からでもはっきりわかる隆起に、城田は肩を竦めた。
「確かめてみてえから」
「・・・やめておけって」
「うるせえ。とにかく、挿れられるように準備だけしておけッ!」
「・・・わかったよ」
城田は、渋々と連橋の体に手をかけた。ついでに、グイッと髪の毛を掴んで、連橋の顔を覗きこんだ。
「ぶっ殺す・・・てめえら」
連橋は、ハアハアと息をもらし、叫んだ。また、血だらけの、連橋の顔と対面することになった城田は小さく溜め息をついた。
「それも仕方ねえかもな。運命ならば」
テーブルの上の鋏を手にして、城田は連橋の目の前にそれを突き付けた。
冷やかに連橋は、その鋏を見つめていた。
「本当ならば、ここに突きつけりゃ一発で終わるンだがな」
城田は連橋の喉に鋏を突き付けた。連橋は、その冷たい感覚に、ビクリと反応した。
「俺のご主人様は、それがお望みではないらしい」
言って、城田はザアッと鋏で、連橋のセーターを切り裂いた。そして、鋏をポイッとそこらに捨て、両手で切り裂いたセーターを剥いた。
連橋の、ちょうどよく陽に焼けた肌が、城田の目の前に現れた。
「おまえ、着やせするタイプなんだ」
まじまじと連橋の胸を見つめて、城田は抑揚のない声で言った。
「てめえ。まさか」
連橋は脚で、城田の尻を蹴飛ばした。城田のしようとしていることに気づいて、連橋は猛烈に抵抗し出したのだ。
「まさかとは思いてぇよ、俺も・・・」
城田は舌を丸めて、連橋の乳首に吸い付いた。
「!?」
連橋は、その感覚に、目を見開いた。チュクッ・・・という音が自分の耳に響いて、首を振った。
「ふざけんなよ、城田っ。ロープほどけっ」
連橋が、胸の城田を振り解こうと、体を揺する。だが、所詮は無駄なあがきだった。城田の舌は、連橋の抵抗を無視して、乳首を這い回る。
「やっ、やめろっ」
連橋の乳首を指で弄りながら、城田は空いた手を連橋のジーンズに沿わせて移動させた。ズルリと、先ほど亜沙子にしたように、ジーンズを下着ごと剥ぎ取り、城田は連橋の下半身を剥き出しにした。グイッと城田は連橋の膝に手をかけ、脚を開かせた。萎えている連橋のペニスを手にして、城田は躊躇いもなくそれを口に含んだ。
「てっ、てめえっ」
いきなり暖かい口腔に、敏感なペニスを含まれて、連橋は竦みあがった。城田は、連橋のペニスを含みながら、軽々と袋を揉みしだいていた。掌で何度も擦りあげる。そして、ペニスは舌でねっとりと愛撫する。
「慣れて・・・やがんなっ!オカマヤロオッ」
連橋が叫んだ。城田は、まったく連橋の抵抗を無視して、自分の思うままに行動した。ペニスの先を爪でひっかき、溢れてきた汁を指ですくう。
「うっ、くっぅ」
連橋は、望まぬ快感を吐いてしまいそうで、動揺していた。
「やめやがれッ」
ほとんどさきほどから無表情だったのに、連橋の顔色が見る見る間に変わっていった。青ざめたのだ。動く度に、連橋の腰が揺れた。城田は連橋のペニスから唇を離すと、立ち上がり、その背後に回って屈んだ。連橋の背をグイッと折って、尻を高々と持ち上げた。四つん這いの姿勢にさせたのだ。城田は、柔らかい連橋の尻を両手で掴み、キュッと左右に開いては、中指を割れ目に沿って撫であげた。
「わうっ」
連橋が、はっきりとした声を上げた。城田は、その反応に、満足したようで、連橋の髪の毛を引っ掴んでは、自分のほうに顔を向けさせた。
「悔しいか?んなことされて」
「うるせえッ」
「ほら、泣いてみろよ。泣いてお願いすれば、許してやってもいいぜ」
囁きながら、城田は連橋の腰に手を回し、そのまま連橋のペニスを両手で掴み、扱きあげた。
「ざっけんな!誰がそんなことするもんかっ!殺されたって、言わ」
言いかけて、ギュッと連橋は唇を閉じた。ペニスに加えられた動きは、尋常ではないぐらいの快感を呼び起こしていた。頭が朦朧としてしまうのを必死に堪え、連橋は唇を噛んで堪えた。だが、城田の手の動きが速くなると、堪え切れなくなる。
「ま、期待してなかったけどよ。おまえはどう考えてもそーゆータイプじゃねえもんな」
「ん、あっ」
思わず開いた口から、喘ぎが漏れてしまう。冗談じゃねえ!連橋は首を振った。誰が、こんなヤツの前でみっともなく喘げるかっ!そう思って、目を閉じる。だが、口を塞ぎたくても手が自由にならない。連橋は、無意識に背後の城田を見上げた。城田は、そんな連橋の視線に気づき、連橋を見つめた。有無を言わせず城田は、肩越しに連橋の唇を塞いだ。まるで悲鳴を飲み込んでしまうかのように・・・。
「・・・」
城田に唇を塞がれたまま、連橋は射精した。城田の手を連橋の精液がドロリと流れ落ちていった。
「はあ、はあ」
肩を喘がせて、連橋はうつむいた。ポトリと、噛み締めた唇から落ちた血が、床に落ちた。
城田は、どろどろに濡れた指を、再び容赦なく連橋の尻の穴に差しいれた。
「うっ、ううっ」
連橋は、その圧迫感にもがいた。キュッ、キュッと城田の指が連橋の奥をまさぐる。そういう行為になんの躊躇いも感じていない指だった。連橋は、必死に脚を動かし、その指を振り払おうとしていた。だが、そうすることによって、城田の指は更に奥に埋まるのだった。
「やっ、やめろ、それっ」
堪え切れずに、連橋は叫んだ。
「やめろって、コレ?」
グニャリと城田は連橋の中で指を折り曲げた。そして、ズリズリと連橋の中を這い回る。ある一点を突くと、連橋が激しく反応した。
「んんッ」
想像以上に、悩ましい連橋の声だった。城田はゴクリと喉を鳴らした。体をずらし、連橋を覗きこむ。
「っ、は・・・。ん」
連橋は喘ぎの声を必死に殺していた。たぶん本人は気づいていないだろうが、快感を堪える連橋の顔は、先ほど抱いた亜沙子という女よりも、数倍色っぽかった。慌てて城田は連橋の顔を見るのを止めて、視線をずらし股間を見た。自分のペニスは既にヤバそうだった。そして、連橋のペニスは、もっとヤバかった。ヒクヒクとひくついては、濡れている。マズイ。このままじゃ、俺が犯っちまいそうだ・・・。城田はバッと連橋を突き放した。
「義政、早く来い。コイツ、2度目イッちまう」
背後の小田島を振り返る。小田島は、さっさと亜沙子の中で1度目の射精を終えていて、連橋と城田の行為を眺めていたのだった。

小田島は、城田と連橋の行為を見ていて、既にペニスを勃たせていた。
「突っ込め」
城田は指示した。小田島はうなづき、グッと連橋の尻を指で左右に開き、連橋の尻の奥にそそり立つペニスを挿入した。
「!」
その時、連橋の背がビクンと跳ね上がった。ズブズブと小田島のペニスが、連橋の奥に沈んでいく。
「う、ああーっ!」
初めて、連橋の口からはっきりと悲鳴が上がった。どんなに殴られても、ブザマな悲鳴をあげなかった連橋が、悲鳴をあげる。
「女連れてこいっ」
小田島は、顔を紅潮させて、城田にそう命令した。
「今度は女の番だ。自分の男が、女にされるのを目の前で見せろ」
城田は、僅かに濡れた前髪を掻きあげ、亜沙子を連れてきた。
「連ちゃん・・・」
亜沙子は、小田島に尻を犯されている連橋を見つめて、小さく名を呼んだ。
「ん、あ。ああっ」
初めて加えられた痛みと感覚に、連橋はもう堪えてはいられなかった。亜沙子の目の前で、小田島に貫かれ、声を何度も殺し、だが小田島に攻められ、音をあげ叫んだ。
「み、見ろよ、城田。こ、コイツ。お、俺に犯られて、感じてやがる」
興奮の極地にあるらしく、小田島は何度もどもった。連橋の震え出した腰を掴み、小田島は無理矢理出し入れを速めた。
「ふ、あっ、ああっ」
激しく腰を揺すられて、連橋は自分の欲望を解き放った。
「連ちゃん・・・」
亜沙子が呟く。小田島は、連橋の尻を攻める快感に夢中になっていて、いつしか城田が亜沙子の目を掌で隠していたことに気づかなかった。城田は、自分の掌が内側から濡れてゆく感覚に気づいて、天井を見上げて嘆息した。


『連橋。生きる意味はな。他人からは与えられない。自分で探すんだよ・・・自分で見つけるんだよ・・・。自分で作り上げるものなんだ・・・』
優しく囁く過去の映像。

あのね。俺さ・・・。生きる意味をね。見つけたんだよ・・・。ちゃんと自分で、だぜ。

貴方の嫌った暴力で、貴方の敵を討ち遂げる。

それがどんなに無意味でも。貴方は例え、喜ばなくても。間違ってても、さ。いいんだ。あの世に行った時に、また説教してくれよ。だって、これが、俺の探した、俺の生きる道。
自分で作り上げた、生への執着なんだ!
俺は生きる。生きている。これからも、この執着故に、生きていけるだろう。
どんなに疲れても。どんなに汚れても。どんなに血塗れになっても・・。

俺は生きていく・・・。

続く

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