バシャアンッ!
いきなりの大きな音で、北斗はハッと顔をあげた。
「絢・・・」
目の前で、人が倒れている。北斗はまじまじとその光景を見つめてしまった。
絢が水溜りに顔を突っ込んで倒れていた。
「なにやってんだ、おまえ・・・」
すぐさま北斗はベンチから立ち上がり、駆け寄った。
「大丈夫か?」
「くそっ・・・。いてっ」
ぼやきながら、絢は北斗の手をかりて、よれっと体を起こした。
「ハハハ」
絢の、Tシャツから髪までが、泥水で汚れている。そんな絢を見て、北斗は笑った。
「な、なに笑ってやがる」
こんな状況で、北斗は場違いなくらい気持ち良さそうに笑っていた。
「おまえ・・・。よく転ぶよな。初めてのショーでも、脚ガクガクさせて危なっかしいなと思ってみていたら、
スッテーンと期待通り景気よく転んでくれてさ。アハハハ。思い出したぜ」
北斗は、本当に腹を抱えて笑っていた。
「やかましいっ!バカの一つ覚えみてーにそればっかいつも言いやがって」
「それ以来だな。俺がおまえのショーを怖くて見れなくなったのはさ・・・」
北斗は、絢の、濡れて額に張り付いた前髪をかきあげてやりながら、ようやく笑いをひっこめた。
「こっちだって別に見て欲しいなんて・・・」
と言いかけた絢だったが、いきなり北斗の唇に、唇を塞がれてそれ以上を言えなかった。
少し間までだったら、北斗のこういう態度を、曖昧に受け入れていた。というか、受け入れざるを得なかった。
だか、今は。今は・・・と絢は思った。絢は、北斗の唇を、無理やり引き剥がした。
「離せ、やめろ。俺達は、もう終わったんだ。一年前に、な。俺とおまえの関係は終わった。契約は終了したんだ」
唇を拭いながら、絢は叫んだ。北斗は、絢の言葉を聞いても、特に表情を変えたりしなかった。
「うん、そうだな」
北斗は、うなづいた。
「おまえの言う通りだ、絢。悪かったな。俺達は終わったんだ」
その言葉に、絢の胸がズキリと痛んだ。
この期に及んでまで、北斗が否定するとでも思っていたのか、と絢は自分に問う。
「俺達は、もうなににも縛られていない、本城北斗と石塚絢だ。俺は、ずっとこの位置を望んできた。
ようやく、この位置に立てた」
北斗が、ホッとしたように、言った。
「なあ。絢。俺の話を聞いてくれないか?」
そう言って、北斗はベンチを指差した。
「風邪、ひくぜ」
雨は止みそうにない。ベンチで呑気に話しを出来る天候ではないことは、北斗だって承知の筈だ。
「構わない。今じゃないと、話せない話だから」
「こっちの都合はどうなる?おまえはいつも自分勝手だ」
「そうさせたのは、おまえだ」
北斗と絢の視線が重なりあう。
北斗の我儘に絢は渋々従う。それは、長いつきあいの中で、当たり前のような光景だった。
チッと絢は舌打ちした。
濡れたベンチだが、濡れた身だ。
ベンチの雨粒を払うしぐさすら見せずに、絢はドサリとベンチに腰かけた。北斗もそれに倣う。
「俺は10数年前。ここで、こうして女を待っていた。おまえも知ってるよな。だが、晶子は来なかった」
「ああ」
絢はうなづいた。
「晶子は来なかったんじゃない。来れなかったんだ。俺は、後からそう聞いた。本人にでは、ないけどな」
「そうなのか?!なぜ、彼女は来れなかったんだ?」
絢の疑問に、北斗は苦笑した。
「絢。俺は、いつも、臆病だった。原点に戻ると、ここからして、俺は既に臆病だったんだ。俺は、どうして、いつも。
本人に聞かずにいたのだろう、と。聞けばいいじゃないか。晶子に、なぜ来なかった?と。そして、絢。おまえには、
なぜ来た、と」
「俺も!?」
北斗は、絢を見つめた。
「その前に、絢。14年前、おまえに金を貸したのは、たった一つの理由だ。おまえとの出会いを、偶然の一夜だけで
終わらせたくなかったんだ。なぜ、そう思ったか。当時の俺は、特に意識していなかった。単純に、おまえという男が
気になった。気にいった、でもいいのかもしれない。おまえは金に困っていたのだから、普通に貸せばよかったのだ
ろう。だが、あの日は運悪く、おまえの商売客と出くわしてしまった。なぜだか、気分が悪くてな。だから、あんな貸し方
になってしまった。きまぐれで貸してやる、と。俺と寝れば借金返済に充当してやるから、他の男と寝るなと。俺は、嫌
っていたくせに当時からバリバリ本城の男だったんだよな。自分で気付いていなかっただけでさ。我ながら、えげつねえ
俺様ぶりだったよ」
北斗は雨に濡れた前髪を掻きあげた。
「俺はな、絢。おまえに惚れたんだ。自覚したのは、海外留学を終えた頃だ。まあ、こうなるだろうとは思っていたから、
驚きはしなかったけどな。だが、おまえに惚れたと自覚してから俺は考えた。俺自身が作り上げた関係の中で、おまえ
は必死に生きているのに、ここで、俺が好きだ惚れたと言ったところで、おまえは立場上絶対に俺の気持ちを拒めない
だろう。そんな不自然な関係が欲しいわけじゃない。俺は、おまえの本当の気持ちが欲しく、真実で愛しあいたかった。
だから、簡単には言えない。告白出来ない。じゃあ、おまえの気持ちはどこにあるだろう。確かめてからでも遅くない。
俺のことをどう思っているのだろうか」
言ってから、北斗は、絢を見た。
「わかりづらかったよ、おまえは」
クスッと北斗は笑った。
絢は、聞かされた事実にポカンとしていたが、ハッとした。
「人のことが言え・・・」
北斗は、言いかけた絢の唇を指でそっと押さえた。
「お互い様だと言いたいんだろう。ああ、わかってるさ。でもな、絢。俺は、おまえに本当に愛されている、と思ったんだ。
おまえと接していく度に、おまえの態度を分析しては、大丈夫、俺は絶対に愛されていると思った。だから、言ってしまおう、
愛してると言ってしまおう。もう言ってしまおう。俺達は真実に愛しあえると。そう思っていた矢先だった。ひょんなことで、
俺は、失敗した駆け落ちのからくりを兄貴から聞かされんだ。俺が駆け落ちをしようとしていた柏崎晶子は、家を出ようと
していたそうだ。だが。俺を本城から逃がしたくない兄貴は、電話で晶子を脅したそうだ。駆け落ちを実行するならば、おま
えの両親を潰してやる、と。つまり、晶子の家を潰す、と。計画はすっかり兄貴がお見通しだったっていうお粗末さだな。晶子
は泣く泣く諦めたそうだ。そしてそれと同時に。俺を、なんとしてでも本城の家に戻す為に、兄は仕組んだという。落胆した俺
を慰め、どうにか気持ちを立て直し、本城の家に戻れるようにと仕向けられる人物を派遣するようにと・・・」
絢はキョトンとしていた。
北斗の話が先に進むことを待ったが、北斗の横顔はこわばったまま、口を開く気配がない。
そうしてゆっくりと、絢は思い至る。思わず、目を見開いた。
「ほ、北斗。まさか、おまえ・・・」
絢の声に、北斗は我に返ったように、続けた。
「あの日。俺に近づき、俺を慰めてくれたヤツはたった一人しかいなかったよ。まるで仕組まれたかのように、体重ねてて。
抱いたのは俺だが抱かれていたような感覚だった。とても、優しい時間だった。泣くことを忘れさせてくれた夜だった。心を
読んでくれたかのようで、俺はソイツに感謝しながら朝を迎え、あの家に戻れた」
当時を思い出したのかように、北斗は穏やかに口元を一瞬緩めたが、すぐに険しい顔になった。
「でも、それが、仕組まれたものだったら?兄の言葉は、俺をどん底に突き落としてくれたよ。絢。おまえが優しいのは当たり前。
おまえが抱かせてくれたのは当たり前。おまえは、本城からすべてを聞いて、俺の事情を知っていたんだから。それにあの日、
おまえは、バイトって言ってたじゃないか」
そう言ってから、北斗は顔を上げ、絢を見つめた。
「俺は思った。愛してる、と言わなくてよかった。一夜限りの偶然と思っていたのに、偶然ではなかったとは。おまえは本城の
息のかかった人間。そう思うと、なにもかもが白々しく思えてきて、俺は、おまえへの想いを封印した。でも、どうしても、どうし
ても。何度も諦めようとしても。おまえが自由に動いて、俺以外の男と接触すると、嫉妬がおさえきれなかった。その度におまえ
への気持ちを自覚する。けど素直になれなかった。だから、おまえを迷わせた。嫉妬しているんだろうと聞くおまえに、誤解するな
と冷たく言った。おまえは迷ったと思う。辛かったと思う。おまえにはなんの罪もなかったというのに・・・」
雨の音が強くなった。
「俺達は別れた。このまま別れている予定だった。だが、俺は、消えたおまえが男と暮らしていると報告を受けて、まだ未練がましく
嫉妬していた。おさえても、おさえても、どうしてもおさまることのない嫉妬。最初は、おまえが過去に言ったように、淋しい者同士の
俺達だったのに、ひとりだけ幸せになるのはずるいぞと自分が思っているのかと思った。もしくは、兄の南が峻に抱いた所有欲にも
似た感情かとも思った。だが、違う。そんなことではない。俺ではない誰かが、おまえを幸せにすることが許せないと思っていた。なら
ば俺はどうすべきか?とりあえず俺は、ひとつひとつ整理していこうと思った。まずは。俺がどうしても素直になれずにいた原因を作っ
たあの真相を確かめようと思った。峻に言われていたんだ。あの日の出会いは、本当につくられた出会いだったのか?そして、作られ
た出会いであっても、そこから変化し、真実の想いになったことを許せないのですか?と。俺は、許せないと答えたんだ。でも、まず。
本当に作られた出会いだったかを確かめようと思ってな。当時から兄の秘書だった坂井に聞きにいったんだ。あの日の真実を。坂井
は話してくれたよ。でもな。兄が言っていたことと違うことが一つあったんだ。小さな間違いだったけれど、俺にとっては人生が狂うばか
りの間違いだった。あの日俺のところへ来るべきだった人間は、別の人間で、石塚様じゃありませんでした、と坂井は言ったんだ。あり
えねえだろ。俺はずっとずっとそう思ってきたんだぜ。おまえを憎んだことすらあったのに」
北斗は絢の頬に手を伸ばした。
「なあ、絢。おまえさ。タイミングわりーよ。なんでそんな日に、偶然、俺に近づいてきたんだよ・・・」
僅かな沈黙のあと、北斗の瞳から、涙がこぼれた。
出会って14年になるが、初めて見た北斗の涙に、絢は言葉を失う。
両頬を北斗の大きな掌で包まれ、絢は目を閉じた。
「あの日。優しく俺を抱いてくれて、ありがとう。俺は。本当に、あの夜に救われたんだ。そのことをおまえに感謝していたんだ、ずっと」
「!」
北斗の言葉に、絢の脳裏には、あの日がよみがえった。
悲しい人間が嫌いだった。
だから北斗が悲しみを忘れるように、と必死に体を繋げた。それが、北斗には伝わっていた・・・。
と、今更気づいたのではない。絢には、大分前からわかっていた。北斗があの夜を特別に思っていてくれたことを。
「知ってるさ、北斗。だから、おまえは、おふくろが亡くなった夜。同じように、俺を抱いてくれたんだろ。気付いていたさ」
母を失ったあの夜。まさに悲しみのどん底にいた俺は、北斗の優しい愛撫に、なにもかも忘れて、朝まで眠ることが出来たのだ。
絢は北斗の涙を指ですくった。
「でも、もう俺達は、戻れない」
と言って絢は、今度は自分から、唇を重ねた。
雨の中、北斗と絢は、言葉もなく、抱きあった。
やっとのことで、絢は北斗の腕から顔をあげた。
「おまえ、知っているんだろう。ブラインとのこと」
「守山にさっき聞いて、ようやくすべてを知ったんだ。ブラインからは数日前、お前と暮らすなどと訳わからんことを言われて、
おかしいなと思っていた」
北斗はの言葉は、にわかには絢には信じられなかった。
「知らなかったとでもいう気か」
トップの北斗が知らないなどとはありえない。北斗は、仕事を下に投げっぱの無能な男ではない、と絢は思っていた。
「守山の件は、俺は本当に知らなかったんだ。別件で忙しくて、あのレストランの時には、海外にいて書類なんぞ見てなくて」
「ウソツキ。携帯にだって何度も何度も電話した」
繋がらない携帯にどれだけ絶望したことか。
「携帯電話は、守山に取り上げられていたんだ。なんでも仕事関係で胡散臭い人物が絡んでくる危険性があるから、
しばらくこっちの携帯を使ってくれって。別の携帯を渡されていて」
言いかけて北斗は唇を噛んだ。それとわかるくらいに、絢が体を震わせたからだった。
「胡散臭いヤツって俺かよ。ああ、そうだよ。俺は10何年もてめえにとって胡散臭い単なるホモヤローだった訳だからな」
激昂する絢に、北斗は頭を下げた。
「絢。すまなかった。この件に関しては、守山は本当に頑固で。幾ら問いただしても、なにも吐かなかった。ただ俺は、
いきなりブライン本人から、絢が私と一緒に住むことになったからと報告されて。絢自身の選択だと言われて。おか
しいと思っていたが、どうやっても守山の計画を知る術がなくて。やっと、今日。偶然会ったあの少年から真実を知る
ことが出来た」
北斗の言葉は、守山が「独断で」と言っていたことと重なる。では、北斗は本当にすべてを知らなかったということか。
それならば。
もし、北斗が今日、隆文と遭わなければ。なにも知らないまま、俺達はすれ違うところだったのだと絢は思った。
「また偶然かよ。それじゃ、その偶然がなかったら、俺達はずっとすれ違ったままだったんじゃねえか。なにが、誤解だ、
偶然だ、だよ。知るかよ。知るかよ・・・ッ」
くしゅっ、と絢は目を指で擦った。
「北斗。確かに俺達は体から始まって、更に金が絡んで、微妙な関係で成り立っていた。でも、俺もおまえにいつしか
惚れていた。おまえと同じように、真実に愛しあいたいと思っていた。でも、おまえの気持ちが見えない。だから、俺は、
いつも曖昧に答えていた。だって、言える訳ないじゃないか。俺の立場では、おまえを愛してるなんて言えない。おまえ
が危惧していたのとは別の感情で、俺からはどうしても言えなかった。なんだよ、おまえってば、なんだよ。欲しいものは、
なんだって堂々と欲しがったおまえのくせに、なんで俺にだけは、言えなかったんだよ。信じられねえ!」
涙、出るな。涙、出るな、と絢は必死に涙を我慢していた。
「簡単に言うな。おまえの態度だって、かなりわかりにくかったんだ。人のこと言えるか。俺は、本城の仕組んだ芝居に
ひっかかったことが、悔しくて仕方なかったんだ」
絞り出すように言った北斗を、絢は更に責めた。
「知るか。おまえに消えろと言われて、消えて。でも、本当は、本音は。すぐに追いかけてきて欲しかった。抱きしめて
欲しかった。なのに、おまえはそのどれひとつも、消えた俺にしてくれなかった」
どこかで聞いたことがある。北斗は思った。
絢の言葉は、rainのイメージソングみたいだと思った。愛してる、がぬけてると一瞬ぼんやり思った。
「一年経ったよ。なあ。俺達、離れてから、もう一年は経ったんだ。今更なんだよ。おまえが今、真実を知ってどれだけ
反省しても、もう全て遅いんだよ。俺達はそういう運命なんだよ。わかるか、北斗。俺は、ブラインと契約したんだ。見ろよ、
これを」
絢は、左の薬指を北斗に示した。銀色のリング。それを見て北斗は我にかえる。
「今度こそ、おまえの力じゃどうにもならないところへ、守山は俺を追っ払ってくれた。俺は、もう逃げられない」
うん、と北斗はうなづいた。
「おまえの言う通りだ。確かに今更だ。それに最初は、本当におまえのことを忘れようとして動かなかったのも事実だ。
なにもかも、本気で今更だ。ましてや俺は、兄貴を捨てるつもりはないし、仕事も投げない。妻だって、子供だって、捨
てる気はない。・・・ブライン相手じゃ、俺はヘタに動けない。相手は王子様だぜ。でも・・・」
北斗は絢の瞳をまっすぐ覗きこみながら、
「愛してるんだ」
と、囁いた。
「おまえだけを、愛してるんだ。誤解しながらもずっと、愛してきた。これからも、きっと、ずっと」
溜め息をつくように微かに小さく、北斗は更に囁いた。
「おまえだけを愛していく。そうおまえに言っておきたかった」
その言葉を合図のように、絢は北斗の両頬に手をかけ、グイッと北斗の顔を自分に引き寄せて、再びキスをした。
「俺だって、おまえが欲しかった。ずっと、ずっと。おまえだけが欲しかった」
軽く触れていた唇が、深く合わさり、互いの舌を求めて強く重なり合う。
ずぶ濡れになりながらも、互いの頬に手をかけ、二人は唇を求め合った。
どんなに重ね合わせても足りない。初めて一つになれた二人は、貪りあう。
お互いの気持ちを探り合いながら、過ぎてきた季節を振り返れば、臆病な二人がそこにうずくまっているのが見えた。
どちらかが手を伸ばせば、どちらかがそれを払い、どちらかが歩み寄れば、どちらかが走り去る。
そんなことを繰り返しながら、それでも離れず共にいた時間を、今は懐かしく。ただ、愛しく。
そして、ゆっくりと強い感情が退いていき、やがて唇が離れた時。
「きっと、ずっと。どこへ行っても。俺はおまえを忘れないだろう」
絢は微笑んだ。
「笑った顔、やっぱり可愛いよな、おまえ」
絢の笑みを受け、北斗も笑った。
「その口説き文句。俺以外に何人言った?つまんねー台詞だけど、おまえに言われると、嬉しいんだから、俺もバカだよな。
守山さんのこと、言えねえや」
北斗と最後の時は、笑っていようと決めた。
だから、俺は泣かないよ。その代わりに笑うんだ、と絢は必死に笑顔を作った。
だが、さすがに
「今度こそ、さようならだね、北斗」
この言葉を言った後は、うまく笑えずに、一瞬引き攣った。
そんな絢をじっと見つめながら、返す北斗の言葉はなく、絢の代わりとばかりに、北斗は鮮やかに微笑んだだけだった。
雨は降り続き、先に絢がベンチを離れた。
北斗は、絢の背中を見送りながら、「ああ・・・。やっと。俺の中の雨が止んだ」と呟いた。

続く