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無理矢理封印した想いに触れないように。
触れないように・・・と。

「先生?」
二階堂の声が耳に届いてハッとする。
「あ、ああ。悪い。なんだ?」
「聞いてなかったのかよ。俺の話」
「スマン」
「まだ耳が遠くなる歳じゃねーっしょ」
ケラケラと二階堂は笑う。
ボコッと二階堂の頭を叩いて、俺は苦笑する。
「おまえさ。2人でいる時くらい、いい加減、俺のこと先生って呼ぶの止せよ。
なんか、萎えるんだけどな」
「えー。だってさ。俺、先生のこと、名前で呼びたくないから」
「なんで?」
「なんで、も。いいじゃん。別に」
そう言って二階堂は、手元のパンフレットをパラパラと捲った。
この週末は、2人で「温泉」でも行こうかということになった。
むろん「温泉」は俺の提案だ。ジジくせーと、二階堂に苦笑されつつ、断固として決行。
怜に別れを告げたあの日、ひどく強い雨に打たれたせいか、いまだに体が冷えている気がして仕方なかった。
それに、のんびりしたい・・・というのが、本音でもある。
「ねえねえ。どこへ行く?温泉って言ってもいっぱいあるぜ」
「そうだな」
俺は、二階堂がかき集めてきた温泉のパンフレットに目をやった。
テーブルには、その大量のパンフが散乱していた。

「俺ね。すっごい秘境みてーな温泉行きたい。そーゆとこで、人目気にせずに先生とラブラブしたいな」
「いつだっておまえは人目なんか気にしちゃいねえだろ」
「まあね」
ニパッと二階堂は笑う。
「・・・」
その笑顔を見て、俺は息が止まりそうになる。

触れないように。触れないように。
封じた「想い」に触れないように・・・。
けれど、そんなのは無理だ。
二階堂の、どんな表情も、全て怜の表情に直結してしまう。
残酷なくらいに良く似ている二人。
いつか。いつか・・・。
この『残酷』な事実が風化する日が来るというのか。

「先生!?」
二階堂が、僅かに不安な顔をして俺の顔を覗きこむ。
「ん?なんでもねえよ」
「そう。だったら、いいけど」
「和彦」
「え?」
「楽しい旅行にしような」
すると、二階堂は嬉しそうにうなづいた。
「ああ。俺、こんなに週末が嬉しいのなんて久し振りだよ。しかも全部奢りだし〜。こういう時、
年上の彼氏って便利だよな。
ついでに成績とかまで細工してくれるぐらいの融通性があると、いいんだけど」
「そんなもんは、ねえよ」
「ちぇーッ」
口を尖らせて、二階堂は拗ねてしまう。
「俺としても、もう少し勉強頑張ってくれれば、おまえはいいカノジョなんだけどな」
「うるせーよ」
ますますむくれる二階堂を見て、俺は笑った。

似ているから好きになった。これは事実だ。
だから、これは俺に与えられた、必然の苦しみ。
だが、いつか、この苦しみも、時が完全に癒してくれる日が来るだろう。
それまでは辛いけれど、きっと乗り越えられる。
一生言えないと思っていた、怜への「別れの言葉」を言えた時のように。
時が解決してくれる日が来るだろう。

「先生。俺、ここがいいな」
二階堂がパンフレットを、俺の目の前に差し出す。
「すごーく秘境っぽいぜ。もんのすげー不便な所にあんの。ここならば、よほどの物好きしか来ないよ。だから、すごく安いし」
「値段は別にどうでもいいけど。げー、すげ、ボロ」
パンフレットに掲載された旅館の写真を見て、俺は爆笑してしまう。
普通、こういうところに掲載する写真は、それなりに見栄えのするものを使う筈だ。それなのに、このありありとわかるボロさ加減。
と、すると、ホンモノはもっとスゴイに違いない。
「ああ。いいぜ。なんか楽しそうだな」
「へえ、意外。先生、こんな所、反対するかと思った。イメージするところによると、もっと洒落たところとか好きそうだけど」
「俺はな。けど」
と、言いかけて、俺はハッとする。
「あ、いや。別に、俺は好きだぜ。そうゆうサバイバル的なところ」
「言いかけるなって。最近、多いぜ、先生」
「言えばどっちも不愉快になるから、止めてるんだよ」
「なんで?俺は別に、全然不愉快じゃないぜ。小川怜サンと比べられるの。そんなのいつまでも続くことじゃないと思ってるもん」
「止めろ。和彦」
すると、二階堂は、キッと俺を睨んだ。
「言いかけ。気持ちわりーんだよ」
「悪かった。けど、おまえは不愉快じゃなくっても、俺が不愉快だから、許してくれ」

消そうと努力しなきゃ、消えるものではないのだ。
怜との長いつきあいでの思い出は。怜が俺に与えた、様々なものは。

二階堂はソファから立ちあがって、俺の横に腰かけた。
「全部、吐いてくれよ。心の中に溜められると、気持ち悪い。言葉にしない分、静かにそれが蓄積されているようで、
こっちは気味悪い。
いつか、それが、自覚のないとんでもない爆発しそうで、怖いんだ」
そう言いながら、二階堂は俺の前髪に指を絡めた。
「中々の表現だな。おまえは、文系だな。和彦」
「ちゃかすなよ。あのね。俺は傷つかないよ。あん人に似てるから、先生に惚れてもらえたって事実、ちゃんとわかってるから。
だから、先生。我慢しないで言葉にしてくれ」
「和彦、俺は・・・」
言い終わらないうちに、和彦からのキスが来る。

おまえに抱かれ、おまえにキスされ。
そして、俺は錯覚を起こす。未だに、だ。
この抱擁は、怜じゃないのに。この唇は怜ではないのに。
この切なさは、一体どこから涌きあがってくるのか?
まるで、尽きることのない泉のように。
だから、俺は、消したい。意図的に消したい。
怜という存在を。
おまえを見ながら、怜を消す。それには・・・。
ひたすら、言葉を消去するしかないのだ。
口にしなければ、心の中で浄化されていく。
だが、一旦口にしてしまえば、それは思いがけない圧倒的な「力」となって、現実を圧迫してしまう。
「和彦・・・」
この抱擁は、和彦なのだ、と。この唇は、和彦なのだ、と。
おまえ、なんだと・・・。
そう思うには、俺は何度でもおまえの名を呼ばなきゃいけない。
怜ではなく、おまえの名を。

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絵里に話せば、なにかが軽くなるかもしれない・・・と思ったのに。
「怜ちゃーん。ほら、怜ちゃんの好きな特大バナナ」
「食わせてくれよ。俺、病気で手が使えないんだ」
「肺炎で、なんで手が使えないのよ。怜ちゃんのえっち」
「なんでエッチなんだよ。点滴してるんだよ。ほら」
「左手空いてるじゃん。きゃははは」
『見舞い』という理由で、会社の女の子達が大勢押し寄せてきた。
「きゃー。怜ちゃん、パジャマ着てる。可愛い」
「スーツ姿じゃない怜ちゃんも、なんか新鮮だわ〜」
などと、入ってくるなり、騒々しいことこの上なかった。
その迫力に、絵里はビックリして、慌てて病室から出ていってしまった。
「俺が入院したことは、絶対に潤には言わないでくれ」と、言った時、
絵里は怒ったような顔で乱暴にドアを閉めて出ていったっけ。
相変わらず、心はドンヨリとしているものの、今ここにいる彼女達のおかげで命が助かったのだから、つれなくも出来ない。
と、いうより、根っから女には、つれなく出来ない俺である。
おかげで殺風景な俺の個室は、花だらけになり、食い物にも当分は、困りそうにない。
「怜ちゃん。今の可愛い子、まさか彼女じゃないでしょうね」
「まさか。俺の彼女はおまえらだっていつも言ってんじゃん」
すると、彼女達はドッと笑う。
「そうだよねー。怜ちゃんは、誰のモノにもならないんだよね。皆のモノだもんねー。誰か一人のモノになったら、ダメよ」
ねーっと皆が顔を合わせて、うなづいた。
「小さくまとまっちゃ、ダメなんだから」
「はいはい。わかってますよ」
俺の言葉に、彼女達は満足そうだった。
けれど。
そう言いながら、彼女達は、俺以外の誰かのものである訳で。
俺は彼女達のモノだけど、彼女達は俺のモンじゃない。
皆。たった「ひとつ」の存在があるのに、俺だけにはない。
それが当たり前だと感じていたのは、遠い昔のあの頃。
潤に会う前の自分。

「怜ちゃん」
「ん?」
「ボーッとして。どったの?」
同僚の一人の矢田ちゃんが、俺の目の前で手を振った。
「あ。ごめん。今、意識飛んじゃった。ほら、俺、肺炎だからサ。矢田ちゃん、今日一緒に寝てくれよ〜。
俺、一人じゃ不安で寝れねえよ」

周りの女の子達が「矢田、ずるいー」とか、「怜ちゃん、アタシが添い寝したる」とか、一気にまた騒々しくなった。
「なに言ってんの。もう病室に女引っ張りこんでたくらい元気な癖して」
矢田ちゃんが、バンッと豪快に背中を叩く。
可愛い顔して、彼女の力はハンパじゃなかった。
「元気じゃねえって」
「じゃあ、元気にしてあげる。怜ちゃん、ほら、海外転勤の話してたでしょ」
「んあ?ああ、そういえば。海外行きてーなって課長に話たっけ」
「そうそう、それ。この前松田課長に小野田部長から電話かかってきて、課長ったら、その話マジに部長にしたら、
なんだかOK出たみたいだよ」

「なにっ!?マジかい」
俺は、ビックリした。
「小野田部長、すごい乗り気みたい。あの人、ホモっていう噂だからな〜。怜ちゃん、危険だよ。本場のイギリス支店だし」
「うっそー。松ちゃん、やってくれんじゃん!」
海外転勤。潤ともめてた時に、勢いで課長にそういう願いを出したけど。
まさかマジに実現するとは。
そうか。と、いうことは。俺ってば、潤の前から消えれるってことね。
「まあ、まだ、本決まりじゃないみたいだけど。でもね、私達は反対運動起こすから、そのつもりで」
「おいおい。ヤメテくれよ。せっかくのチャンスを」
「だって、うちら、怜ちゃんをホモに差し出す気ないもんッ」
皆が一斉にうなづいた。
「そうだよ。そんなのイヤだもん」
って言われても。
俺ってば、ホモだろう、たぶん・・・とは口に出しては言えない。
だって。潤が好きだし。潤が・・・。
そっか。俺、潤と離れ離れになるってことか。そうか・・・。
外国ってことは、遠いよな。遠いってことは、そう度々会えないってことで。
いや、もう。近くても会えないし。
なんせ「もう会わない」宣言ぶちかまされたし・・・。
などと考えていると、看護師が入ってきて、彼女達をキッと睨んだ。
「貴方達。廊下まで声が聞こえますよ。ここは病院ですよ。それにもう面会時間が過ぎてます」
と、看護師が迫力ある声と顔で言うと、彼女達は逃げるように去って行った。
すると、看護師の攻撃が今度は俺に飛んでくる。
「小川さん。貴方はまだ完全に回復してないんですよ。もっと自分の体を自覚しなさい。ほら、横になりなさい」
「すみません〜」
俺はゴソゴソとベッドに横になった。
「あとで熱を測りに来ますからね」
そう言って看護師が部屋を出て行く。
突然静かになったその部屋で。
潤と遠く離れる自分を想像してみた。
しかし。
まるっきり、そんなもんは想像出来なかった。
ただ、潤の、怒ったり、笑ったりした顔だけがクルクル回って、どうしようもなかった。
俺は起きあがって、病室を出た。
ロビーまで来て、そこにある公衆電話を見た。
止めろと心で叫ぶのに、それを無視してガッと受話器を掴むと、勿論暗記している潤の家の番号を押した。
しばらくのコールのあと、応答する。
「もしもし」
予想はしていた。潤ではない声が、電話に出ること。
「もしもし?」
繰り返されるその声を聞きながら、俺は受話器を置こうとした。
「小川怜さん?でしょ」
そう聞こえた。
「俺達明日から、温泉行くんだ。おみやげなにがいい?怜さん」
二階堂っつーガキの声。
「温泉饅頭でいい」
そう呟き、相手の反応を待たずして、俺は受話器を叩き置いた。
温泉でもどこへでも2人で行けばいい。
俺だって行ってやるッ。遠くへ・・・行ってやるッ。

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先生が風呂から上がってきた。
「誰から?」
電話の音は聞こえていたらしい。
「マンションの勧誘」
「ふーん」
先生はとくに疑問を持たず、タオルで頭を拭いていた。
そうだろう。完全に別れを告げてきたみたいだから、まさか怜からの電話があるとは思っていないのだろう。
それで良いと思う。
電話があった事実なんて、知らない方がいい・・・。
「先生。メシ、久し振りに外に食いに行かない?」
「え?これからか?」
「うん。たまにはいいじゃん。俺、出前あきたよ」
「そうだな。そうすっか」
煙草に火を点けながら、先生はうなづいた。
「今支度すっから、待ってろ」
「了解」
明日からは先生と2人っきりで旅行だ。
恋人と旅行なんて、別に初めてでもないけれど・・・。
先生が、朝から晩までずっと一緒っていうのが、嬉しい。
そりゃ今までだって、放課後からこの家に来て、朝まで
一緒で、同伴登校っつーこともあるけれど。
結局、昼間は離れ離れ。授業だって、毎時間数学な訳がないし。
俺は数学ダイッキライだけど、ま、先生の授業ならば、ずっとでもいいけど・・・。
始めの一歩って気がするぜ。
まだまだ先は長いけど、見込みはある。
こんなふうに、進んでいけば・・・。きっと俺達は、忘れられる。
小川怜という存在を。
今すぐにという訳には行かないけれど、きっと、たぶん大丈夫。
「行くか」
「うん」
一緒に歩くことが幸せ。一緒に居ることが幸せ。
車に乗って、食事して、たわいもないことを喋って。
「和彦。おまえってば、なんだかヘラヘラしてて。どうした?」
食事を終えて、駐車場までの帰り道。
自然にこぼれてしまう笑いを、先生に指摘された。
「だって嬉しいんだもん。先生と一緒にいること。明日からは、ずっと一緒なこと。今、すごく幸せ」
そう言って俺が振り返ると、先生は咽せていた。
煙草を慌てて唇から離していた。
「俺、先生のこと、大好き」
マジな面して言ってやったら、先生はキョトンとしていた。
「嬉しい!?」
そんな先生の顔を見上げると、先生は頭を掻いた。
「嬉しい・・・」
ボソリと呟いて、街灯に照らされた先生の顔は、僅かに赤くなっていた。
「照れてらァ」
あまりに初心な反応に、俺はケラケラと笑い、先生をからかった。
「し、仕方ねえだろ。そんなこと・・・。いや、そんなふうに言われたこと、なかったんだから」
「へえ。先生ってば、そんなにカッコイイのに、モテなかったんだ」
意外だ。
「ああ。生憎な。そんな熱烈なこと、誰にだって言われたことはねえよ」
「意外だよ。先生ならば・・・」
と、言いかけて、俺は思い当たる。
ああ。そうか。そうじゃない。この人は・・・。
その一途な心のままに、ずっと。あん人を恋し続けていたから。
誰かが自分を好きになっても、きっと気づいたりなんかしなかったのだろう。
そして、また。
この人を好きになった人も。言いたくても言えなかったのだろう。
誰かを強く、強く想っているこの人に。きっと、気づいていたのだろうから。
「どうした?」
でかい手で、先生はポンと俺の髪を撫でた。
「言いたくても言えなかったんだよ。先生を好きになった人。小川怜さんを好きだった貴方に気づいてさ。それにさ。
当時の先生ならば、例え言われてもきっと、切り捨てちゃったんだよ。あの人に、自分の全てを奪われていたんだから」
言うなと言われていたこと。
怜の名前を、決して口にしないでくれと頼まれていたこと。
けれど。言わないでいられる筈もない。
俺達の始まりは、結局はあの人が原因だ。
だからこそ。口にしなくてはいけないのだ。
先生が沈黙を守れば守るほど。俺は不安になる。
「怜」という存在が、無言のまま、先生の心の中で溢れていくこと。
言葉にすれば、流れて行くものを、先生は頑なに拒否する。
「和彦。約束が違う」
「約束なんか、してねえもんッ」
「さっき。ちゃんと言っただろう。口にしないでくれって」
「あんな約束無効だよッ。だって。普通にしていて、それでいて小川怜の名前だけを言わないなんて不自然じゃないか!
そういう流れに
なった時、口にしないなんて意識してるのが見え見えだ」
「そうだよ。意識してる。意識して俺は・・・」
「いいって言ったじゃん。俺、重ねて見られても。仕方ないじゃん。俺は小川怜と似ているから、貴方に好きになってもらえたんだから」
「止めろ、その言い方ッ」
先生の大声が響いた。
「おまえはいいかもしれないが、そんなふうに言われる俺のが惨めだろ。確かにそうだ。事実はそうだ。
けどな。おまえがそう言う度に
俺は傷つく。おまえにそう言わせてしまう自分が不甲斐ない。もう止めてくれ」
「イヤだ。そんなのは、先生の綺麗ごとだ。結局は、先生は忘れたくないんだ。小川怜のことを。俺は言ってやる。
何度だって先生に小川怜の
名前を突き付けて、先生の心の中からアイツを追い出してやるッ」
先生は煙草の煙をゆっくり吐いた。
「・・・」
妙な沈黙が俺達の間に流れる。
そして。先生は笑う。苦笑ってヤツだ。
「ソックリだよ。やっぱり、おまえ達。なにから、なにまで。俺の言うことなんか聞きやしねえ。和彦。
おまえがそうやってあがけば、
あがくほど。俺は・・・」
先生は俺をまっすぐに見た。
「怜を思い出しちまって、仕方ねえよ」
「!」
たった今まであった幸せが、足元から崩れて行く。
「先生の・・・バカヤロウッ」
俺は、走り出した。
「和彦。危ないぞ。おいっ」
大人ってヤツは、狡猾だ。
そして、やっぱり長く生きてるだけはあるもんだよ。
効果的に言葉を使う。確実にトドメを差す。
「和彦。車がッ。和彦。止まれ、バカ、止まれ」
先生の声が耳に響いた。
「!!!」
一瞬、チャリーンと、先生の持っていたキーケースが道路にに落ちたその音が耳に焼きついた。
次の瞬間、俺の体は浮いていた。ドンッという衝撃が体に響いた。
なにが起ったのか?と呆然としていると、一気に耳に周りの音が溢れてきた。
悲鳴。そして、それから。
「事故だ。誰か救急車を」
「人が跳ねられたぞ。早く。救急車を呼んでくれ」
俺は、先生に突き飛ばされた体をのろのろと起こした。
目の前で起った事実。
先生が・・・!先生が・・・!
「せ、先生。え、遠藤先生。せんせいッ」
どうしよう。まさか・・・。
まさか、こんなことになるなんて・・・。

先生は俺をかばって、車にはねられた。

続く
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