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「うおおお〜!」
「んだ、てめえっ」
朝も早い時間から、二人は部屋に埃が舞う程の取っ組み合いを演じていた。
ドタン、バタンッ★
二人がゴロゴロと取っ組み合いながら部屋を転がるので、ドスンッ、バタンと凶悪な音が辺りに響きまくっていた。
「なんなのよ。朝っぱらから、うるせーぞ、てめえらぁっ」
バンッ!
ドアが荒々しく開き、怒鳴り声が響いた。
その怒鳴り声によって、やっと二人の喧嘩はおさまったのであった。


「まあまあ。それは気の毒に」
「気の毒もへったくれもねーよっ。ベッドが一つしかねえから隣に寝ただけなのに、あのヤロウ。俺のことをベッドから蹴り落しやがって!!」
静は、怒りで顔を真っ赤にしていた。
「セブンのあの凶暴さは、研究の副産物だって専らの噂よ」
坊主頭の小太りの男は、なんだか妙に静にしなしなと寄りかかりながら、せっせと傷ついた静の腕に包帯を巻いていた。
「前から凶暴だったことは、凶暴だったんだよ。ったく。ああ、すまねえな。アンタ。って、ところで、アンタ誰?」
キョトン、と静は目の前の坊主頭の男を見た。
「おほほ。私は、6(シックス)よ。こう見えても、オンナです♪」
うっふーん、とシックスはクネクネと、静の肩にしなだれかかった。
彼は、瑞貴の隣室の住人で、先ほど、瑞貴の部屋に怒鳴り込んできた張本人だった。
「お、オカマッ」
ヒーッ、と静はシックスの頭を肩から振り払った。
「きゃっ★オカマなんて、懐かしい響きね♪」
と、オカマはめげない。
微妙に嬉しそうですらある。
「あ、アンタもこの研究所に拉致されてきたんか?」
静が聞くと、シックスはブンブンと可愛らしげを装ったように、首を振った。
「私は志願してきたのよ。五郎ちゃんの子供が欲しくて」
「ご、五郎ちゃんって?」
おそるおそる静は聞き返した。
「やだ。恋人に決まってるじゃなーいっ」
バッシーン、と背中を超強力な勢いで叩かれて、静は椅子からすっ飛んだ。
「きゃー!大丈夫??ごめんなさい。力入れすぎちゃった」
内股で走ってきながら、シックスは静を、フンッと抱え起こした。
「いてえよっ!」
静は本気でシックスに向かって怒鳴った。
「やん。怒っちゃ、やー♪ごめちゃい★」
うふふふん、とシックスに間近で微笑まれて、静は、眉を寄せては、思わず目を逸らしてしまうのだった。


数十分後。静はフンフンとうなづいていた。
「そか。ここには、アンタみたく志願してくる人もいれば、理由があって拉致されてくるヤツもいるんだな」
シックスはコクリとうなづく。
「ええ。セブンの場合は、どうも親の借金のカタに売られてきたようよ」
しずしずと、シックスは、静の前に置いた花柄の可憐なティーカップに、紅茶を注ぐ。
「ハーブティーよ。お口に合うといいけど。お肌にいいって言うから、私、毎日飲んでるの。リラックス効果もあるのよ」
「あ、サンキュ」
「でね。まあ、私の場合は、5(ファイブ)のように、子宮取りつけ自体は失敗せずに成功したのよ。けどね。妊娠しなくてさ〜。研究員の樋口くんと、毎晩のようにヤッたけど、どうも無理みたいねぇ。悲しいわ」
よよよ、とシックスは、ハンカチで目頭を押さえた。
「ああ、樋口くんの子供が欲しかったわ」
ぐすぐすと鼻を啜りながら、シックスが呟く。
「え?五郎じゃなかったのか?」
「あら。まあね。まあ、どっちでもいいわ!」
ケロッとシックスは言った。
「・・・」
仕事とは言え、樋口ってヤツも気の毒に・・・と静は思った。
「で。私の次に来たセブンも、子宮の取りつけには成功したようなんだけど、あいつはね〜。非協力的で、ベッドに来る研究員達を片っ端から投げ飛ばして実験を拒否してるのよ。私の樋口くんなんて、何度アイツに金的ケリを食らったか。そのせいか彼はちっとも私の寝室に来なくなって、私としてもセブンには怒りを感じているのよ!」
や。そのせいだけじゃねえだろ・・・と静は心の中で思ったが、口に出していうのは止めて、ゴクリとハーブティーを飲んだ。
「ん。この紅茶うめーな」
「でしょ♪飲んで、飲んで。いっぱいあるから!」
姿形は不気味だが、瑞貴よりもよほど優しいシックスであった。
なんだか、静はホロリときた。
同じような扱いを受けているにも関わらず、シックスと瑞貴のこの違い・・・。
ホウッと静は溜息をついた。
「どうにかなんねえもんかな・・・」
場慣れするのが早い静は、すっかりシックスの部屋で、シックスに馴染んでは、まったりとしていた。
「そういえば、静はどうしてここにいるの?」
シックスの質問に、静は唇を尖らせた。
そして、経緯をシックスに説明するのであった。
「やだ。そういうことなのね。静ったら、優しいのねぇ〜。セブンを助けに来たなんて」
「優しいっつーか。心配だろ。一応は知り合いだったんだしさ。目の前で拉致られたんだぜ」
「確かにネ。でも、ここ探すの大変だったでしょ?一応は機密プロジェクトらしいし」
「ああ。もうカノジョの持ってるパソコンで調べまくってサ。やっとここを探り当てたんだ。大変だったな」
今思えば、探し当てることが出来ない方のが、俺幸せだったかも・・・とすら思ってしまう静であった。
瑞貴の態度がアレでは、あまりに甲斐がない。
「なあ、シックス。なんとかここから脱出出来ねえもんだろうか・・・」
「行きはよいよい、帰りはこわい・・・ってな所だからねぇ。なんとも言えないわ」
二人がシーンとし、俯いていると、荒々しくドアが開いた。
「リンダッ!」
名前を呼ばれて、静は思わず振り返る。
「こんなところにいたのか。探したぞ、リンダ」
Drヘルピスが、シックスの部屋のドアの前に立っていた。
「こんな所ってどういう意味よっ」
シックスが憤慨すると、
「おお。これは失礼。シックス、君も居たのだね」
大袈裟なジェスチャー付きでヘルピスは謝った。
シックスは、「私の部屋だもの。居るに決まってるでしょ」とぷりぷり怒っていた。
「なんだよ、カルピス。俺になんか用かよ」
眉間に皺を寄せながら、静はヘルピスに訊き返す。
「当たり前だ。君はこんな重要な日に、なに呑気に茶など飲んでいるんだ」
カツッとヘルピスは靴音を響かせて、静の傍らにやってきては、グイッと静の腕を掴んだ。
「需要な日?」
とんちんかんなことを言う静に、ヘルピスは「重要な日」と訂正してやった。
「今日、なんかあんの?」
静はキョトンとしている。
「当たり前だ!今日は君とセブンの結婚式なのだぞ」
何故か胸を張ってヘルピスが言う。
「ああ、そうか。結婚式か。なるほどな。って、なんだと?!」
ガタンと椅子から立ち上がった静を見て、ヘルピスはサッと防御マスクをつけた。
「抵抗無用!」
シュワ〜っと、まるで害虫に、害虫スプレーをかけるかのように、静に向かってヘルピスは薬物の入ったスプレーを噴射した。
「ぬおっ!」
「きゃあっ」
バタッ、と静がその場で倒れた。
ついでにシックスも・・・・。
「よしっ。敦子くん。用意だ。用意をせい」
「Drったら顔に似合わず、結構手荒ですわよね・・・。あ〜あ。シックスまで巻き添えに・・・」
ドアの向こうに控えていた敦子が、ストレッチャーを持ってきながら、無残に床に転がった静とシックスを見ては気の毒そうに呟いた。


静の目がゆっくりと開く。
ぼんやりと焦点があってくる。
俺が今見てるものは、天井・・・。
天井だよ。
俺ってば一体・・・。
「!」
ガバッと静は起き上がった。
この光景は覚えがある。
俺の体には毛布がかけてあって、そして俺は裸で・・・。
静は案の定体にかけてあった毛布をバッと剥ぎ取った。
すると・・・。
「んじゃあ、こりゃ!」
自分は、真っ白のタキシードを着ていたのだった。
「あら、起きたのね。じゃあ、美容部員を呼ばなきゃね」
傍にいたのは、白衣姿の敦子だった。
「お、俺・・・。俺」
「中々カッコイイわよ。君、衣装負けしないわね。気づかなかったけど、整った顔してるのね」
「そ、そうすっか?えへ」
一瞬、キャハッと喜んでから、静はハッとした。
「ち、違う。喜んでる場合じゃなくって。俺、なんでこの格好してるんだよっ」
「それは」
と敦子が答えようとしたところに、「セットしまーす」と、バタバタと美容部員達がやってきた。
「ああ、お願いね。うんと綺麗にしてあげて頂戴。一生に一度のことだから」
静の混乱を見なかった振りをして、敦子は冷静に美容部員達に指示をした。
「任せてくださーい」
彼らは、キャピキャピと静をストレッチャーごと運んでいく。
「ちょっ、ちょっと待て。お姉さん、説明を。説明を〜」
懇願は綺麗さっぱり無視されて、静は再び運ばれていく。


数時間後。
静は、所定の場所に、ぶすっくれて座っていた。
「なにをそんなしけた顔を・・・。今の君は、ピカピカに光っているぞ」
「アンタ幾つよ、カルピス!ってか、もう、いいや。俺、怒る気力もねーよ」
がっくりと静は項垂れた。
催眠スプレーを使われて意識を奪われ、勝手に着替えさせられて、髪を整えられ、この場に連れてこられた。
無機質な外観であった筈のこの研究所に、こんな場所があるのが信じられないぐらいの荘厳な教会であった。
新郎席に座ることを強制された静が、呆然としていると、ヘルピスが機嫌よく現われた。
さすがに外人だけあって、正装が様になっていることこの上ない。
そんな脳天気なヘルピスを見た時、静は反論することを諦めていた。
「ブートニアが曲がっている」
ヘルピスが、静の胸元に手を伸ばし、ブートニアを整える。
「学芸会じゃあるめーし・・・」
ケッと静は肩を竦めた。
「もうすぐセブンがここにやってくる。さっき控え室を見てきたが、信じられないくらいセブンは綺麗だったよ。化けるもんだね。あのまま、一生君を騙し続けてくれることを私は祈る。ああ、私は花嫁の父の心境だよ。感動だ。とても感動だよっ」
ガシッとヘルピスが静の手を握り締めた。
「ってゆーか。瑞貴のヤツがおとなしくしてるとは思えねーんだが・・・」
静が言うと、ヘルピスは、ノンノンと人差し指を粋に振って見せた。
「人間、往生際が悪いのは、ダメだ。セブンは、もう覚悟を決めたのだと思う。おとなしく敦子くん達の指示を受けて、衣装に着替えていたぞ。まあ、途中、シックスが目覚めて、私が着る、私が着たいわって喚いてはいたが、再び催眠スプレーで眠ってもらって事なきを得た」
「荒っぽいな。だが、しかし・・・」
「なんだかんだ言って、セブンは君を愛しているのだと思う」
ヘルピスは、自信満々に言った。
「ありえねーっつーのよ」
静はヘルピスを睨みつけた。
「今朝だって一緒のベッドで寝たぐらいで、噛み付かれ、ぶん殴られ・・・。なのに、愛してるだの、そんなんありえねーっつーのよ」
「照れていたのだろう」
あっさりとヘルピスは言う。
「冗談じゃねえ。殺されるところだったんだぞ」
「君のその顔の傷。ドーランで隠すのが大変だったそうだ」
横顔のまま、ヘルピスが全然関係ない話題をふってきた。
「どうでもええわいっ」
ハアッと静は溜息をついた。
なにか起こる。
ってゆーか、起きてくれ!と願わずにはいられない静だった。
同性結婚が許可されるこの国で、こんなことをしてしまったら、自分は18歳で既婚者になり、かつ男の妻だか夫だかを持つことになるのだ。
そんなの悪夢だ。
悪夢だぁ〜と静は頭を掻き毟りたい衝動にかられた。
「遅いな」
神父が定位置に着くのを見て、ヘルピスがチラリと腕時計を見た。
「そろそろの予定なんだが」
と、教会のメインドアが、バーンッと激しい音と共に開いた。
「Drヘルピス!やられました。セブンのヤツ、おとなしくしていたのは演技で、最後の最後で控え室で大暴れして・・・。仕方なく麻酔銃を打ち込んでしまいました」
敦子が、ハアハアと息を荒げながら、駆け込んできた。
敦子は珍しく白衣姿ではなくフォーマルな格好をしていた。
こうしてみると、スタイルの良い女性なのである。
「敦子くん。麻酔銃だと?スプレーで処理出来なかったのか?」
「だって。私のせっかくの綺麗なドレスが乱れるのがイヤだったんですもの。一発で仕留める方法を選びましたっ」
「やれやれ。君はまったく過激だよ・・・」
二人の会話を聞いていた静は、
「てめえら、どっちもどっちだよっ。瑞貴に麻酔銃だと?てめえら、なに考えてやがる」
と怒鳴った。
「あら、私が量を間違えるなんてミスはしないわ。さあ、始めましょう」
「って、君。まだ他の出席予定の研究員達が集まっておらんではないか」
「他の研究員達は、セブンとの立ち回りで皆ボロボロです。私とDrで見届ければ、立派に式は成立します。さあ、神父様にお願いしましょう」
「待てよ!それよか瑞貴は」
静が聞くと、敦子はニッコリとうなづいた。
「今来るわ」
と、開け放たれたドアから、ゴロゴロと聞き慣れたストレッチャーの音がした。
「?!」
ストレッチャーの上には、豪華な棺が乗っている。
「あの中にセブンが?」
ヘルピスが訊くと、敦子はうなづいた。
「はい」
「どうも結婚式だか葬式だかわからん具合になってきたな」
ふむ、とヘルピスが顎を撫でた。
「万が一の為に作っておいた棺桶がこんなところで役に立ちました。だって、ストレッチャーの上に乗せてきたんじゃ雰囲気出ないでしょ」
敦子はケロリと言った。
「それもそうだな」
ヘルピスはうなづいた。
「・・・てめえら、殺すっ」
言いながら、静はダダッと棺に向かって走り出した。
「瑞貴っ」
ストレッチャーが神父の前で止まる。
運んできた係員達はおとなしく棺の横に立っていた。
その係員を押し除けて、静は棺に駆け寄った。
「瑞貴、大丈夫か、瑞貴っ!」
ギギギ・・・と重い蓋を持ち上げて、静は棺の中を覗きこんだ。
「瑞貴っ!って、なんだ、これっ!」
目の玉が飛び出る程、静は驚いた。
バラの花が敷き詰められた美しい棺の中には、シックスが、スヤスヤと眠っていたからだった。
「誓いのキスを」
神父が静の背に向かって言った。
「出来るかぁっ!」
静は怒鳴った。
「あら?間違えたみたいね。これ、シックスだわ」
敦子が近くに来て、棺を覗きこんでは、眉を寄せた。
「オオ。ジーザス」
ヘルピスが大袈裟に驚いて、左手で目を覆う。
「紛らわしいことになったわね・・・。ちゃんと指示したのに。さあ、早く、セブンを連れてきて」
敦子の指示に、係員達が蒼白になって、式場を飛び出して行く。
「どうなっているのかね」
神父もイライラしている様子だ。
「ちょっとお待ちを〜」
オホホと敦子は微笑む。
「もうっ。もうっ!!勝手にしやがれ〜」
とうとう静はその場にへたりこんだ。


数分後、花嫁?を入れ替えた棺が式場に到着した。
「さあ、見て。ねえ、綺麗でしょう」
パカッと敦子が棺を開けた。
「おお、なんと。花に彩られたセブンは美しい。私が結婚したいぐらいだっ」
ヘルピスがガバッと棺にはりついた。
「さあ、リンダ。そんなところで拗ねていないで、見てみたまえ。君の妻だよ」
「・・・」
プイッと静は床を見つめたまま立ち上がらない。
「なにしてんのよ。さっさとしなさい」
敦子のものすごい高さの細いヒールで足を踏まれて、ふぎゃっと静は立ち上がった。
「いてえ〜」
つま先を抱えて跳ねながら、静は棺にぶつかった。
「さあ、見てみたまえ」
それ幸いと、グイッと静の頭を掴んで、ヘルピスが静の顔を棺に近づけた。
「うおおおおおお」
顔を逸らそうとしたが出来ずに、静は棺の中で眠る瑞貴を視線に捕らえてしまった。
「!」
「まるでスリーピングビューティーだな」
ホウッとヘルピスが感嘆の声を漏らす。
「誓いのキスを」
神父がイライラしたようにキスを催促するが、そんな声は聞こえん!とばかりに、静はボーッと棺の中を見つめたまま、硬直してしまっていた。
『確かに、すんげえ綺麗・・・。ちゅーか、これ、マジ瑞貴かよ・・・』
不覚にも「どきんっ!」と胸が高鳴ってしまった瞬間に、「ええい。じれったい」と、ヘルピスが静の頭を押さえて、そのまま瑞貴の顔の上に静の顔を落した。
「ひえっ!」
抵抗ままならぬまま、静は瑞貴とキスを交わしてしまったのだった。
そこへ、敦子がデジカメでパシャパシャと写真を撮った。
神父は、誓いのキスが為されたことに満足し、途端にニコニコし出して、今度は指輪を差し出した。
「どわあああああ」
静のどでかい悲鳴が教会中に響き渡ったが、静の他は誰一人動揺することもなく、テキパキと式?は進んでいく。
硬直する静の薬指に敦子が指輪を嵌めてやり、ひたすら眠る瑞貴の薬指に、ヘルピスが指輪を嵌めてやる。
誓いの言葉は、ヘルピスと敦子が代行してやり、結婚式はつつがなく??終了した。
静といえば、ただ棺の前で、呆然と終始突っ立ったままであった。
「よし!結婚式は無事終了。あとは記念すべき初夜だな、リンダ」
パンッと背中をヘルピスに叩かれて、静は、やっと意識を取り戻した。
「はあ?」
「すべては貴方の精子の勢いにかかってるんだからね。頑張って、静くん!!」
ガシッと敦子に手を握られ、静は再び「はあ?」と首を傾げた。
「さあ、貴方達。セブンを特別室の寝室に連れていって」
敦子がテキパキと指示を出した。
「かしこまりました」
係員達は再びゴロゴロとストレッチャーを押して、教会を出て行く。
その後に、敦子とヘルピスがついていく。
「寝室のカメラの用意は大丈夫か?」
「はい。全方位からベッドを映せるように設置してあります」
二人はすっかり研究者モードの会話をしながら、教会を後にしていく。
神父もしずしずとその後をついていく。
「はあ?!」
静は一人、荘厳な教会に取り残され、その場で、首を捻っていた。

続く
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