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なんだってコイツは。
毎度のことだが、少しは場所を選べよ、と陽は圧し掛かる北条の体を避けながら、嘆いた。
階下には、盆踊りのような音楽が流れ、パオ族達の楽しそうな笑い声。
それなのに、俺達は、木で出来た、今にも崩れ落ちそうなバルコニーで・・・。
「なにを抵抗している。合意ではないか」
「るっせー。さっきから、合意、合意うっせーんだよ。俺は、やだって言ったろ」
コイツは、絶対に、合意という言葉の意味をわかってない。
所詮異星人・・・。
「うわあっ」
陽は悲鳴を上げた。容赦なく服を剥ぎ取られた。
「はっきり言って、俺はもう我慢の限界だ」
北条が言った。
「てめえが我慢してたことなんてあっかよーーー」
長い北条の金髪を、陽はグッと掴んで体を捻ったが、もう全然北条の力には敵わなかった。
あかん。もう疲れた・・・。
抵抗するのに疲れた陽は、キッと北条を睨んだ。
「さっさと済ませろ」
諦めの早い陽であった。
「さっさと済ませられる筈がなかろう」
ふんっと北条は鼻を鳴らして、ようやくおとなしくなった陽の体を自由に扱った。
「確かにさすがに階下は気になるところだな。おまえはやつらの主様とやらになってしまったからな。万が一にでも、俺がおまえに無理を働いていると思われて、
やつらにスイッチが入ってしまったら、おまえに突っ込む前に殺されてしまいそうだ」
チラリと北条が階下のパオ族を気にしていた。
「完璧、無理働いてンだろ。叫んでやるぞ」
「うるさい。おまえはおとなしく俺の情熱を受け取る為に協力しやがれ」
がほっと口を掌で塞がれて、陽は呻いた。
北条は、ずりずりとバルコニーの中央から体を移動させて端に寄った。
全裸の陽の背中を、窓に押し付けて北条はバランスを取った。
グイッと陽の足の間に北条は体を割り込ませた。
「これで下から見えんな」
「だったら部屋に入れっ」
陽の抗議を北条は無視した。
「さあ、足をもっと開け、陽」
「いやだ」
ぶんっ、と陽は首を振った。
「駄々をこねるな」
「こねるよ。こねまくりだっつーの」
「恋人の願いが聞けぬか。俺のココは、こんなにも熱くおまえを欲しているというのに」
そう言って、北条はずらしたズボンから、屹立したペニスを取り出した。
「うっ」
陽は、生々しいソレから、慌てて目を逸らした。
「そう簡単に素直にはなれぬか。まあ、おまえはそういう性格だな。では、素直にさせるまで」
北条は、陽の髪をゆっくり撫で、そして。
「んごっ」
情熱的な硬さを誇るそれを、陽の口に突っ込んだ。
「ん、ん」
いきなり口に突っ込まれたペニスに、陽は眉を寄せた。外そうにも、北条の指が、がっちり陽の顎を固定していた。
「久しぶりのおまえの口だ。ああ、イイ」
うっとりと北条は呟いた。
目尻に涙をためて、それでも陽は、吐き出すことも敵わないペニスを仕方なく愛撫した。教え込まれた通りに、舌を使い、北条が好きな場所を舐めあげる。
「いい子だな」
ペロリと舌で唇を舐めながら、北条は、自分のペニスに愛撫をする陽を見つめていた。
「ふっ、うっ」
苦しげに陽の眉が寄った。そこへすかさず、北条が腰を引いた。
「ごほっ」
陽が咽た。
「教えたこと、ちゃんと覚えているようだな」
ペニスの代わりに、今度は指を口に突っ込まれて、陽は再び口の中を掻きまわされた。
「んぐ」
ずっ、と北条が陽の口から指を引き抜くと、唾液が糸を引いた。
「よしよし」
満足げに笑うと、再び北条は、陽の口にペニスを突っ込んだ。
「んんー」
開放されたと思っていたのに、再び指より大きいものが入ってきて、陽の口は限界いっぱいまで開かされた。
「くっ、ん」
北条の股間に顔を突っ込むような形でフェチラオをしていた陽は、背中に北条の重みを感じて、ギクリとした。
北条は体を伸ばし、陽の尻に指を潜り込ませていた。
「!」
濡れた長い北条の指が、陽のアナルの周囲をツルリと撫で、それから、遠慮なく、アナルを突き破りにかかった。
「ん、あっ」
衝撃に、陽の口から、北条のペニスが外れた。
「ココは久しぶりだな。ココもちゃんと俺を覚えているか?」
「やめっ、やめてくれっ」
「やめる筈ないだろ。なにを言ってる。そら、俺をちゃんと慰めろ」
グイッと北条は腰を陽の顔に押し付けてきた。
陽は濡れて熱い北条のペニスに指を絡めて扱きあげる。
「うっ、う」
集中したくても、北条の指が荒らす自分の尻の奥からの感覚に気を取られてしまい、陽は首を振ったが、北条が許してくれる筈 もない。
のろのろと、陽は北条のペニスを再び口に含んだ。
必死に顎を上下させて、北条のペニスに奉仕する。舌が痺れる、と思った瞬間だった。ペニスから白濁液が噴き出した。
「っあっ」
避ける暇もなく、それは陽の喉の奥に流れ込んでいった。
「あ、あ」
望まないのに、陽は、北条の精液をすべて飲み込んでしまった。
「まずは口で一回。気持ち良かったぞ、陽」
背中にキスを落としながら、北条が嬉しそうに、言った。


慣れた動きで、北条の指は、陽のアナルを解していった。
「はっ、あ、あ」
窓ガラスに背をもたれかけさせて、陽はただ、ただ、喘いでいた。
「もっと足を開け」
そう言われて、ひーん、と心の中で泣きながら、陽はゆるゆると足を開いた。
さっきから北条は、恋人同士なんだから合意だ合意だの連発で、もうそれに抵抗する気力すら陽に残っていなかった。
こんなん拷問じゃ。これだったら愛人のがよかったか、と陽は少し後悔していた。
「っ、はあ・・・。くっ」
久しぶり過ぎて、体が火照っていた。
「あ、やだ、北条、やだっ」
陽は相変わらず拒否の言葉を口にする。これはもう、ほとんど癖のようなものだった。
アナルには、北条のペニスが力強く突き刺さっていた。
ズッ、ズッと激しく出し入れされる度に、中がヒクヒクと痙攣して、陽を泣かせていた。
「ひっ、うっ」
まったく容赦なく北条は、真面目くさった顔で、陽の体を貪りつくしていた。
もう既に一度陽の奥深いところで北条は射精し、今はもう二度目の交情だった。
つっ、ついていけね〜と陽はぜえぜえと息を乱した。
乳首はもう北条に舐められ、齧られ、弄り倒され、散々な状態だったし、北条に奥深いところを突きまくられて、陽のペニスは、その刺激だけで精液を吐き出す始末だった。
セックスに慣らされきった体は、与えられた刺激に従順だった。
「いっや、もう、頼む。むりぃ」
体が熔ける、体が熔ける、と陽は叫んでは、涙を零した。
と、そこへ、急に北条の動きが止まった。
聞き入れてくれた!と、陽が思ったのもつかの間だった。
ドサッと近くで大きな音がした。
「!」
かごの中からフルーツ落ちて、陽と北条が交わっているそのすぐ場所に、転がってきた。
黄色い実だった。
「あ、あの。僕、主様にフルーツをお届けしに。このフルーツはとても美味しいので。あの、でも。きっ、金色のお人。主様を虐めるのおやめください」
あらぬ姿で交じり合っていた二人だが、ジアンには、それが喧嘩だと見えるのだった。
愛し合う行為を知らぬ無垢な子供。
北条は金色の豊かな髪をかきあげて、ジアンをまっすぐに見つめた。
「これは、喧嘩ではない。愛し合ってるいだけだ。案ずるな」
「ですが、主様は、嫌がっておいでです。な、涙をこぼされております」
よほどの勇気を振り絞っているのだろう。ジアンは北条が怖いらしいのだが、ガタガタ震えながらも陽を庇う。
その様子を見て、北条は、ふっと微笑んだ。
「これはな。嫌がっているのではない。可愛がってくれ、と言って泣いているのだ。コイツの星では、可愛がってもらいたいと時はこうやって強請るのだ」
「そっ、そ、そうなのですか」
北条の言葉に、ジアンは、大きな目を見開いた。
「ばっ、てめ、嘘」
陽が反論したが、北条はニヤリと笑った。
「嘘か?陽、まことに嘘か?」
グッと北条が体を進めた。
「あ、ん」
そこから湧き上がる快感に、陽は声を上げて、たまらず北条に抱きついた。
「気持ち良いのだろう。なあ、陽」
「は、ああ」
ぶるぶると北条を咥えこんで、陽の体が震えた。
「なあ、陽。嫌ではないだろう。こうして俺に抱かれているのは」
「う、うん。ジアン、俺、嫌がってない・・・。ごめん、大丈夫だよ」
陽の瞳からポロポロと涙が零れた。
「そういうことだ。心配するな、子供」
北条は、涙を零す陽にグイッと口づけた。
「ん・・・」
唇を重ねる二人の姿を見て、ジアンはポッと頬を赤らめた。
唇を重ねるという行為だけは、ジアンとてわかっていた。愛し合う二人がすることだ、と。
一族の者達だって、してるところを見たことがあるし、なにより。
その行為は、とても美しい光景に見えた。
「では、ここに置いておきます。またあとでお顔を見せてください、主様」
にこりと笑うと、タタタとジアンは走り去った。
「てめー、子供の前で」
唇が外れると、陽は、ググググと北条の顎を押し返して、再度のキスを拒んだ。
そういえば、北条の桃色屋敷には、子供たちも多くいた。
ここらへんの感覚は、俺と、この星のやつらとでは、違うのだろうか、と陽は思った。
「うるさい。裸なのはおまえだけだが俺の体が邪魔で見えていないし、ましてや繋がってるとこなど、俺の長い髪で見えてない。ちゃんと気を使って
体の角度をずらして隠しておいた。安心しろ」
「安心できるか。ジアンのトラウマになっちまったら、どーすんだよ。気を使ったならば、とっとと止めるのがフツーだろーが、この非常識男っ」
「いきなり来られて、止められる訳がないだろーが。おまえも男ならば、わかるだろ」
ぐっ、と陽は言葉に詰まった。
「それに、仕方あるまい。おまえが今更パオ族の主だかなんだかになってしまったし、俺はやつらにとっては敵に等しいレコーダー。
今後の展開を考えれば、どう考えたって、俺はパオ族にとっては目の上のタンコブだ。おまえは俺の愛を素直に受け取らず
ギャーギャー騒ぐから、余計にやつらにとって、俺はおまえを虐めているような存在にしか見えないに違いない」
ますます陽はなにも、言えなかった。
「ここは、おまえと俺はしっかり愛し合っていて、セットだということをあの子供を介して一族の者どもに伝えてもらわねばならんのだ。
特に、主様だかなんだかのおまえ自身が、俺を欲していることを、きちんと伝えてもらわねば・・・」
「なんちゅー強引な」
だが、確かに、ジアンは北条を明らかに怖がっていたし、一族の大人達も、陽と北条への接し方が明らかに違った。
「俺は、おまえを誰にも渡さない。おまえは俺のものだ。ティガンの商人にも、リスローにも、パオ族にも、地球にすら、おまえは渡さない。
俺が息絶えるその瞬間まで、おまえは俺のものでいなければならない」
熱烈な言葉に、陽はカアッと顔を赤くした。
「もの扱いすんなよ。俺はおまえの愛人じゃねえんだよ。恋人だろ」
「だったら、おまえも俺を所有すればよい。俺もおまえだけのものだ」
陽の体を抱え直しながら、北条は真剣な顔で言った。
「なら、ここから戻ってもおまえはもう愛人を囲わないか」
んん、と陽は体が軋む感覚に、喘ぎながら、北条の顔をグイッと自分の方を引き寄せた。
「それをおまえが望むならば」
すると、陽は引き攣った笑顔になった。
「あ、えっと。49人まではどーかと思うけど、一人か二人くらいならば、持ってもいいんじゃないの。俺、絶倫のおまえの相手、毎日出来ないしー」
えへっ、と陽が笑う。
「根性なしめっ」
動きを再開されて、陽が眉を寄せた。
「だっ、だって、ほんと、無理だもん。おまえ、熱すぎて、こんなん無理。俺、おかしくなっちまう」
北条の腕の中は熱い。
こんな風に蕩けるぐらいに抱かれていたら、自分はどうなってしまうのか。
せめて、このままでいたい。
まだ、抱かれて、正気を保っていられるぐらいは、このままでいたいと陽は思うのだった。
つん、と乳首を唇で突かれて、陽はビクリとした。
「顔を見せろ。俺は、おまえの顔が、好きだ」
顔を挙げて、正面から北条を見つめた。
「大好きだ、愛してる」
この言葉を言われる度に、体の奥がピクピクする。
俺、いつのまに、こいつのこと好きになっていたんだろう。
俺、いつのまに、こいつのこと、こんなに好きになっていたんだろう。
悔しいと思って、体を捻ろうとして、察した北条に邪魔された。
「う、あ」
ずぶり、と更に奥にペニスが潜り込んだ。さっきから、中に出されたものがダラダラと襞を伝い、落ちていく。
「ふっ、あっ」
体がドロドロになっていく。
リスローとセックスした時に、違う、違うと言っていた感覚が消え、これでいい、と体が納得しているのがわかった。
北条のペニスが、自分のモノだということを、俺の体が覚えている。
ココに挿いるのは、コレなのだ、と体が悦んでいる。
それがすごく恥ずかしくて、俺は一体どれだけコイツに抱かれていたんだと陽はいたたまれなくなる。
体に入り込んできた異物を、自分のモノだと認識してしまうなんて。
「お、おまえ、さっ、さいて・・・」
「さいこうの間違いだろ」
すかさず訂正が入る。
「あ、う、あ」
喘ぐ陽に、北条は、優しく微笑んだ。愛しさがその笑みから零れ落ちるかのようだった。
「愛してる、陽。おまえがいらぬと言っても、何度も言う。おまえの顔も体も心も、すべてが好きだ。愛してる」
薄っぺらい言葉だ・・・と簡単に退けられぬほど、北条の言葉と体は連動していた。
全身で北条は陽を愛し、陽も全身でその愛を受け止めた。
「ん、ん。あ、おまえにゃ負けた。ちきしょう、愛しちまった・・・」
悔しいなぁと言いながら、陽は北条の首筋に唇を寄せて囁いた。
「俺も、おまえを愛してる」
さすがの陽も、裏表のない北条に降伏で・・・そして、幸福だった。


翌朝。
ステロト1日目から、濃厚な夜を過ごしてしまったことに、陽は落ち込んでいた。
なんか最後の方には、自分から強請っていた気がすんだけど・・・と、隣に眠る北条の寝顔を見て、陽は頭を抱え込んだ。
こいつはきらいじゃないけど、ほんと、このまま一緒にいたら俺、体壊れる。
マジで妊娠でもしない限り、体が休めない気がしてきた、とゾッとして時だった。
バサリと羽音が聞こえた気がして、窓の外に視線をやった。
ドサドサと空から白いものがたくさん落ちてきた。
「!?」
雪にしては大きかったような。なんだ、どーした!?
乱れたシーツを蹴とばし、ガウンを羽織り、陽はバルコニーに出た。
走り出そうとして、痛む腰に仰け反った。
こっ、腰痛えよっ、と一瞬その場に固まってしまった陽の耳に、庭先からの、賑やかな声が聞こえた。
大勢の声。
「わっ。パオ族じゃないか。なんで、ここに」
「リスロー様。こちらの屋敷がお二人がいらっしゃるところですか」
「ルゼ。気をつけなさい。足元がぬかるんでいるわ」
「ありがとうございます。アマーリア様、大丈夫です」
「王妃様〜」
「主様、わが一族の朝ご飯をどうかお召し上がりくださいませ」
「陽。わが店の一番人気よ。はるばる顔を見に来てやったぞー」
ガヤガヤガヤガヤ。
陽は耳を疑った。ここにある筈のない声が一部聞こえてきたぞ、と思った。
「嘘だろ」
陽は痛む腰を引きずり、バルコニーの手すりに飛びついた。
「みっ、みんな!」
ルゼにリスローにシュリにクリスに北条の愛人達やパオ族。
皆がバルコニーの陽を見上げて、手を振っていた。
「なっ、なんでここに」
「おー。ひと月に一度、ステロトに降りていいとカウマインが言ったんでな。皆でこうやってひと月に一回はおまえらに会いに来ることに決めた。なんたっておまえらのいない空は、淋しい」
リスローは、僅かしか見えぬ空を指差して、にししと笑った。
「王妃様〜」
シュリがシュリーンと、丸い形になって宙を飛んで、陽の傍にやってきた。
「シュリ」
ぎゅむと陽はシュリを抱きしめた。
「陽様。サーシャ様はまだお眠りですか?」
下から、ルゼの声。
「ああ、まだアホヅラで寝てるぞ」
「誰がアホヅラだ」
ぎくっ。すぐ後ろには、北条がガウンを着て立っていた。
「サーシャ。昨日は何回ヤッたー?陽、久しぶりだったから、昨日のサーシャは相当激しかったろ。腰は大丈夫か」
リスローがへへへっと笑いながら、北条と陽をからかった。
「リスロー、てめー!」
身を乗り出した陽は、バキッという怪しい音に「へ?」と首を傾げた。
ヒューン。
古いバルコニーの手すりは、陽を支えきれずに、崩壊した。
「うわああーーー」
羽のない陽は、下に真っ逆さまだった。
「お任せーーー。落ちてきても大丈夫だ」
庭先にいた人々が皆で一斉に手を拡げた。
あ、そっか。俺、落ちても受け止めてくれるのね。なーんだと陽はホッとした。
と、ふわっ、体が浮いた。
落下する陽に北条が追いつき、その腕に抱えた。
フワン、と北条が陽を抱きかかえたまま、空中に浮かんだ。白い羽が鮮やかだった。
そっか、さっき窓から見えた白いものって、皆の羽だったんだな、と陽は思い至る。
「おっ、おお、サンキューな。てか北条。おまえ俺がおまえの子うんぬんより、俺に羽をつける研究してくれよ」
「必要ない」
陽の要求を北条はぴしゃりと跳ね除けた。
「なんでだよ、意地悪ヤロー」
陽はムッとして言い返す。
「俺が、おまえの羽で存るからだ。羽などつけたらおまえはどこかへ飛んでいってしまうかもしれぬ。だが、なければ、誰かに頼るしかこの星では生きていけぬ。それは俺であればいい」
北条がにっこりと微笑んだ。
昨晩に引き続き、それは、それは、とても幸せそうな笑顔だった。
「わかったよ!」
赤くなった顔を隠す為に、陽は北条の胸に顔を伏せた。
途端に、ひゅーひゅーとひやかしの声が下から沸いた。
「だあっ、うっせー」
北条の胸から顔を上げ、陽は下の皆を見た。
皆、いる。仲間。俺の、この星での、仲間。
そして、俺を抱く、俺の恋人。
陽は、へへ、と北条の腕の中で、笑顔になった。


父さん。母さん。
稲葉陽。これからもこの星に住みつきます。
恋人はなんか男になっちまったけど。なんとかやっていきます。
色々問題あるヤツだけど、とにかく俺のこと一番愛してくれてるんで。
多分、俺を守る為ならば、死ねる男なんで、安心して。
冷たいけど、情熱的な男なんで、まあ、なんとか。

いつか地球に帰るかもしれないし、帰らないかもしれない。
とにかく。
俺、頑張って生きていくから。
この星で、愛をいっぱい抱えて、生きていくよ。


END

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長らくのご愛読ありがとうございました。連載を始めて、約10年後に完結しました。

2012/11/9 BGM 松/田/聖子 白いパラソル・流星ナイト(^^)

※一部あとから、修正しました。

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